米ブロックチェーン分析企業Chainalysisは3月、年次調査「Crypto Crime Report 2026」を公開し、2025年に違法アドレスが受け取った暗号資産が少なくとも1540億ドルに達したと報告しました。
The Chainalysis 2026 Crypto Crime Report is now LIVE! Crypto crime is becoming industrialized — organized crime groups are running digital-asset supply chains, and nation-state actors are plugging into the same rails.
Key findings:
🔹$154B illicit volume
🔹+694% sanctioned… pic.twitter.com/o7wO74LbZU— Chainalysis (@chainalysis) March 5, 2026
前年から162%増え、同社の調査では過去最大の水準となりました。
今回の急増を押し上げたのは、国際制裁の対象となっている組織や企業による資金移動です。
Chainalysis、制裁関連の暗号資産取引が前年比694%増
Chainalysisによると、制裁対象エンティティに関連する取引額は1040億ドルで、前年から694%増えました。違法取引全体の大半を占める規模となっており、暗号資産が国際的な制裁を回避する資金経路として使われるケースが急増した形です。
同社はレポートの中で、暗号資産を使った違法資金の流れが国家主体や組織犯罪の活動と結びつき、分業化が進んでいると指摘しました。
資金洗浄を担う専門ネットワークや、詐欺グループにインフラを提供する仲介者が存在し、地下経済としての規模が拡大しているといいます。
2025年の暗号資産詐欺被害、約170億ドルに
詐欺被害も依然として大きな割合を占めています。2025年の暗号資産詐欺による被害額は約170億ドルと推計されました。
中でも、著名人や企業を装う「なりすまし詐欺」は前年比1400%増と急拡大しました。AIによるディープフェイク動画や自動化ツールの普及が背景にあるとみられています。
ランサムウェアでは、確認された支払総額が8億2000万ドルとなり、前年から8%減少しました。ただし攻撃の件数は約50%増えており、被害の裾野は広がっています。1件あたりの身代金支払額も大きくなっており、中央値は約6万ドルで前年比368%増でした。
北朝鮮関連の暗号資産盗難、2025年に20億ドル超
国家が関与したサイバー攻撃も目立ちます。北朝鮮に関連するハッカーグループによる暗号資産の盗難は、2025年に20億ドル以上に達しました。大型取引所を狙うケースが増え、少ない件数でも被害額が膨らむ傾向が強まっています。
もっとも、暗号資産市場全体の取引量が拡大するなかで、違法取引の比率はやや低下しています。ブロックチェーン分析企業TRM Labsによる別の調査では、2025年の違法取引は約1580億ドルで過去最高でしたが、全体取引量に占める割合は約1.2%にとどまりました。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、世界の伝統的なマネーロンダリング額が年間8000億〜2兆ドルに達すると推計しています。
これと比べると暗号資産の違法取引は依然として小さいものの、国境を越えて資金を動かせる特性から各国当局の監視は強まっています。
違法資金の規模が拡大する一方、取引の分析技術や国際的な捜査協力も進んでおり、今後は資金洗浄ネットワークへの摘発が重要な課題になるとの見方が広がっています。
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