国内初の「ステーブルコインJPYC払い」、Nudgeクレジットカードで受付開始
*本記事における「国内初」という表現は、JPYC株式会社による自社調べに基づくものです。
JPYCでクレジットカード返済が可能に、VISA加盟店で幅広い利用へ
次世代クレジットカード「Nudge(ナッジカード)」において、JPYC株式会社が発行を予定する円建てステーブルコイン「JPYC」での返済受付を、2025年10月を目処に開始すると発表した。
今回の発表により、世界1億5000万超のVISA加盟店において、ステーブルコインを用いた支払いが可能となる。
ステーブルコイン市場は世界的に拡大を続け、発行総額はすでに2,500億ドル(約42兆円)を突破。オンチェーン上での取引量はVisaやMastercardを上回るとも報告されている。
一方、日本では、JPYC株式会社が2025年8月に資金移動業者としての登録を完了し、今秋に国内初となる円建てステーブルコイン「JPYC」を発行する予定だ。
こうした状況下で、ステーブルコインを日常の決済に浸透させるには、「利用可能店舗の拡大」と「身近な利用環境の整備」が欠かせない。しかし、加盟店契約やPOS改修、ウォレット管理などの課題が残るなか、幅広い店舗ネットワークを持つクレジットカードとの連携は、その普及を大きく後押しする第一歩となります。
「ステーブルコインJPYC払い」サービスの特徴
ナッジカードはマイクロサービス基盤を活かし、多様な返済手段を提供してきた。銀行口座からの自動引き落としに加え、「セブン銀行ATM払い」や「銀行振込」にも対応しているが、今回新たに「ステーブルコイン払い」が加わる。
プリペイド型ではなく、与信型の「後払い」がステーブルコインで可能
利用者は、ナッジが指定するウォレットアドレスにJPYCを送金することで返済が可能。つまり、プリペイド型ではなく与信型の「後払い」をステーブルコインで利用できる形となる。
サービス開始時は対象を限定し、Nudge NFTの実績があるPolygonチェーンから対応を始める。将来的には他のステーブルコインやトークン化預金への拡大も視野に入れている。
今回の取り組みにより、日本初となる「クレジットカードの支払いをステーブルコインで行える仕組み」が実現する。コンビニや飲食店、サブスクリプション、さらには公共料金の支払いまで、VISA加盟店であれば国内外を問わず幅広い場面でJPYCが利用できるようになる見込みだ。
日本円建ステーブルコイン「JPYC」の特徴
JPYC社が発行する「JPYC」は、日本円と1:1で交換可能な日本円建ステーブルコインであり、裏付け資産は預貯金や国債で保全される。
利用者は同額の日本円に償還可能な信頼性の高いステーブルコインを利用できる仕組みとなる。今回発行される「JPYC」はEthereum、Avalanche、Polygonの3チェーンで展開される予定だ。
なお、JPYC(電子決済手段)とJPYC Prepaid(前払式支払手段)は異なるトークンであり、両者の交換をJPYC社が受け付けることはない。
JPYCで広がる新しい経済圏
JPYCは、特定の加盟店契約や利用契約を必要とせず、あらゆる事業者や開発者が自由に組み込める「オープンな金融インフラ」として位置付けられている。
この特性を活かし、業種や業態を問わず導入の検討が進められており、すでに複数のサービスで具体的なユースケースが広がりつつある。
実店舗・ECにおける決済システムを開発中(株式会社電算システム)
電算システムは、全国6万5千店を超える収納代行・コンビニ決済ネットワークを活用し、JPYCを用いたB2C/B2B決済や企業間精算のユースケースを順次具体化する計画を進めている。コンビニやドラッグストアといった日常生活に密着した店舗での利用が想定されており、実用化に向けた動きが加速している。
企業向けSaaS「ASTERIA Warp」における連携機能を開発中(アステリア株式会社)
アステリア株式会社は、1万社以上に導入されているノーコード業務連携ツール「ASTERIA Warp」にJPYCとの連携機能を追加する予定だ。これにより、資金移動手続きの自動化やワークフローとの統合が可能となり、企業の資金管理や決済業務の効率化が期待されている。
Web3ウォレット「HashPort Wallet」での対応が決定(株式会社HashPort)
HashPortが提供する国内ユーザー数No.1のWeb3ウォレット「HashPort Wallet」でもJPYC対応が決定した。同ウォレットは、2025年10月に大阪・関西万博公式アプリ『EXPO2025デジタルウォレット』の後継サービスとしてリニューアルされる予定であり、70万人規模の利用者にマルチチェーン対応やガスレス接続といった次世代のユーザー体験を提供するとしている。