日本で暗号資産の取引情報に対する国際的な税務報告ルールが動き出しました。OECDが策定したCrypto-Asset Reporting Framework(CARF)に基づき、2026年1月1日から国内の暗号資産交換業者に報告義務が課されます。国際的な情報交換は翌年2027年に始まる見通しです。
CARFは2022年にOECDが公表した国際標準で、暗号資産を利用した脱税や課税逃れを抑止する目的があります。暗号資産取引所や関連事業者が利用者情報や取引記録を収集し、税務当局に報告する仕組みを整えます。
最初の交換開始は2027年からと想定されています。OECD Global Forumの実施ガイドでは、「2027年に交換を開始する国は、国内制度の適用日を原則2026年1月1日とする」と整理されており、今回の動きはそれに沿ったものと言えます。
日本では「日本版CARF」が正式導入
日本は2023年末の税制改正大綱で導入を決め、2026年1月1日に施行しました。国税庁の資料では、以下が制度の骨格です。
・対象は非居住者による暗号資産等の売買や交換、移転
・国内の暗号資産交換業者、電子決済手段取引業者、金融商品取引業者等に報告義務
・利用者は税務上の居住地国や納税者番号の届け出が必要
・報告データは国税庁に集約され、2027年以降に他国税務当局へ年1回交換
先行してコインチェックでは、2026年末までに届け出が求められる案内も出ており、国内の実務運用はすでに動き始めています。
求められる実務対応とユーザーへの影響
今回の施行により、暗号資産事業者はKYC以上の情報確認が求められます。居住地確認や納税者番号の取得など、2026年中のユーザー体験に変化が生じる可能性があります。
利用者側は、海外取引所を含む暗号資産取引が「税務当局同士で自動的に把握される世界」へと移行することになります。
税務処理が可視化される一方で、過去に存在した残余的な抜け道は減っていくとみられます。脱税抑止はもちろんですが、国境をまたいだ資産管理において、実務の透明化や正確な自己申告を促す効果が期待されます。
世界で一本化される「税務レール」
暗号資産の自動情報交換は、これまで金融資産全体で枠組みが整備されてきたCRSに比べ、長らく欠落していた領域でした。各国政府は技術の進化と市場の成熟速度に追いつけていない面がありましたが、CARF対応を通じて「国家間の標準仕様づくり」が追いつき始めた形です。
2026年はデータ収集元年でもあり、実際の影響が表面化するのは2027年以降と言えます。制度はグローバルで整備されたものの、執行力や監視体制の強度は国ごとにバラつくとみられ、実効性の検証はこれからです。
ただし方向性は明確に定まりました。暗号資産取引は、銀行口座や証券と同様に各国税当局が追跡可能な領域へ移行する。その最初の節目が2026年1月1日だったと言えます。
引き続き、日本国内での適用状況や、各国の実務運用、取引所の対応状況を追っていきます。
