三菱商事が、JPモルガンのブロックチェーン基盤「Kinexys」をグローバルな資金移転業務に導入することが分かりました。日本企業による導入は初めてで、エネルギーや製造、ロジスティクスといった海外事業で発生する企業間送金を即時化し、資金効率を高める動きとみられます。
三菱商事はすでにKinexysを使ったテスト移転を完了しており、フル運用は2026会計年度、つまり2026年4月開始の年度の早い段階で開始する見込みです。
Kinexysで用いられるのは「Blockchain Deposit Account(BDA)」と呼ばれる仕組みです。Nikkei Asiaによれば、BDAはブロックチェーン上の台帳で預金残高を記録し、国際的な資金移転を即時に処理します。ステーブルコインやトークン化預金を新たに発行する方式ではない点も特徴です。三菱商事はこの仕組みを通じて海外拠点や事業会社間の資金移動を迅速化し、従来は数時間かかっていた決済時間を短縮する考えです。
1回あたりの送金額は最大で約5億ドルとされています。日本円換算では足元の為替水準にもよりますが、約700億円規模に相当します。総合商社の資金移動は原材料調達や船積み、在庫確保、緊急時の資金手当てなどと密接に結び付き、決済時間の短縮は運転資金の圧縮につながります。BDAは休日や夜間を含めて24時間365日稼働できるため、相場変動が大きい局面や突発的な資金需要への対応力も高まる見込みです。
Kinexys自体の利用規模も拡大しています。同サービスが2020年以降に累計3兆ドル超の取引を処理してきたと伝えました。日次の取引額は現在約70億ドル規模とされます。
利用企業にはBMW、Siemens、FedExなどが含まれ、Kinexysはすでに大手企業の資金移動インフラとして実績を積んでいます。今回、三菱商事が日本企業として初めて加わることで、国内の大企業がブロックチェーンを暗号資産取引ではなく実務の決済基盤として使う流れが一段と鮮明になった格好です。
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