ドル建てステーブルコイン市場が2025年に約3000億ドル規模へ拡大する一方で、日本では規制準拠型の円建てステーブルコイン「JPYC」が立ち上がったものの流通は依然小さいです。決済・取引インフラとしての実需が、米ドル建てと円建ての差を分けている構図です。
2大ステーブルコインUSDT・USDCの時価総額は2023年以降3倍に増加し、2025年9月時点で約3000億ドルに達しました。
2026年2月時点でUSDCの流通額は約752億ドル、前年比成長率は約72%です。単一銘柄でもステーブルコイン全体を大きく上回る規模になっており、ドル建てのネットワーク効果の強さが数字に示されています。
この拡大を支えたのはまず規制面の前進です。2025年中盤に米国でGENIUS Actが施行され、許可型の支払いステーブルコインに連邦レベルの枠組みが整いました。100%の裏付け資産を求めるルールが明確になったことで、発行体と利用者の双方が扱いやすくなったとみられます。
欧州でもMiCAの適用が進み、日本では金融庁が制度整備を進めています。2026年には担保資産として高格付けの外国債券を求める厳格な基準案が伝わっています。
取引の現場では、ドル建てステーブルコインが暗号資産取引所やDeFi、先物取引の証拠金として定着しています。
価格変動の大きい暗号資産市場では、ドル建てで資金を待機させ、そのままレンディングやデリバティブに回せる利便性が大きく、厚い流動性が集まる好循環が生まれています。
日本では2025年10月、JPYCが初の規制準拠型JPYステーブルコインとして発行を開始しました。
円建てステーブルコインの制度化が実際の発行に結びついた点は前進ですが、ドル建て市場との差は依然として大きいままです。
JPYCの足元では、発行後の運営モデルも課題になっています。Metaplanetでビットコイン戦略を担うDylan LeClair氏は、JPYCの登場自体に意義があるとしつつ、裏付け資産から生じる利回りがユーザーに還元されていない点を指摘しています。
円建てステーブルコインは価格安定性を重視するため、保有者に直接的な利回りを付けにくい一方、発行体は準備資産の運用や規制対応にコストがかかり、収益性の設計が難しい状況です。
円建てステーブルコインが広がる余地は、グローバルでの具体的な用途をどれだけ作れるかにかかっています。
候補としては、国内取引所での円建て基軸通貨化、法人間の即時決済、Web3サービス内での決済、DeFiにおける円建て流動性プールの整備などが挙げられます。
ドル建ての成功は「法定通貨に連動している」だけでなく、送金、取引、担保の複数用途が同時に成り立ったことによって生まれました。
