JPYC、金融庁の資金移動業者登録を取得 ― 国内初の日本円建ステーブルコイン発行へ
JPYC株式会社は8月18日、資金決済法に基づく「資金移動業者」の登録(関東財務局長 第00099号)を取得したと発表しました。
国内で初めて日本円と1:1で連動する電子決済手段(ステーブルコイン)の発行が可能となります。
2023年6月に施行された改正資金決済法では、円建てステーブルコインを発行できる主体を「信託銀行」や「資金移動業者」に限定しました。今回の登録によって、JPYCはその枠組みの中でいち早く認可を得た形となり、国内初の資金移動業者による円建てステーブルコイン「JPYC」を発行できる立場を確立しました。
新ステーブルコイン「JPYC」の特徴
新たに発行される「JPYC」には、次のような特徴があります。
1.法制度に裏付けられた日本円建ステーブルコイン
JPYCは、資金決済法第2条第5項に基づく「電子決済手段」として発行されます。
暗号資産は、価格が市場の需給によって大きく変動しやすく、また法定通貨への換金が保証されていないといった性質を持ちます。
一方でJPYCは、日本円と常に1:1で価値が連動し、さらに日本円や国債といった裏付け資産によって担保されているため、価格変動リスクがなく、法定通貨に準じた安定性を提供します。
つまり、暗号資産(仮想通貨)とは全く異なり、JPYCは常に日本円と1:1で価値が連動し、交換できるという保証があるのが大きなポイントです。利用者は日本の法律の枠組みに基づいた安心感を持って利用することができます。
2.新たなステーブルコイン「JPYC」を発行
同社はこれまで、前払式支払手段として「JPYC Prepaid」を展開してきましたが、今回の登録によって利用範囲の拡大が可能となり、より多様な決済やサービス連携に対応できる「JPYC」の発行へと踏み出します。
JPYC株式会社は「暗号資産交換業」を営むのではなく、資金移動業者としての枠組みでステーブルコインを発行します。
暗号資産取引とは切り離された、安全かつ法制度準拠の決済手段として位置づけられます。
3.複数のチェーンに対応
Ethereum、Avalanche、Polygonの3つのブロックチェーンで発行を予定しています。今後もチェーン拡大を検討する方針で、幅広いWeb3サービスとの連携が見込まれています。
今後の展望
資金移動業者としての登録を受けたことで、日本円建ステーブルコイン「JPYC」の発行と償還サービスを開始する予定です。
利用者は日本円を引き換えに、ブロックチェーン上にJPYCとして発行できるだけでなく、保有するJPYCを再び円に戻すことも可能になります。
また、送金、決済、Web3サービスとの連携、発行チェーンの追加検討など、JPYCを活用した新たなユースケースが期待されます。
加えて、JPYCは法人・個人を問わず幅広い利用を想定しています。今後はパートナー企業との協業を一層強化し、日本円建ステーブルコインの利用促進と利便性向上を目指していく方針です。
こうした展開により、JPYCは日本円を基盤とした新たな決済インフラとしての役割に注目が集まります。
参照:公式発表