VisaとDuneが公表した共同レポート「Beyond Dollarization」によると、米ドル以外の法定通貨に連動する非USDステーブルコインが、DeFiでの運用手段にとどまらず、支払いや企業財務に使う「お金」として存在感を強めています。
New research with @Visa: "Beyond Dollarization"
Everyone tracks USD stablecoin supply at $300B. Almost nobody is tracking what's happening in local currencies.
We partnered with Visa to go deeper:
→ Non-USD stablecoin supply grew 3x (outpacing overall stablecoins supply)
→… pic.twitter.com/mAplAp2xw8— Dune | We Are Hiring! (@Dune) March 25, 2026
市場全体に占める比率はなお小さいものの、供給量と移転量、利用アドレスの伸びはいずれも急拡大しており、ステーブルコイン市場がドル一極からわずかに広がり始めた実態が浮かび上がっています。

レポートによると、2026年2月時点の非USDステーブルコイン供給高は11億ドルで、2023年1月比で3倍に増加しました。月間移転量は同期間に約6億ドルから100億ドルへ拡大し、伸び率は16倍超、1,600%以上に達しています。
保有アドレス数は約120万に達し、ホルダーアドレスは4万から120万へ30倍に増加しました。ユニーク送信アドレスも約6,000から13万5,000へ増えています。
DeFiよりウォレット、取引所、treasuryに滞留
非USDステーブルコインの使われ方がUSD建てステーブルコインとは異なると分析しています。
供給分布を見ると、約50%が未特定のウォレット、25%が中央集権型取引所、13%が発行体のtreasuryやガバナンス関連アドレスに置かれていました。貸付プロトコルは7.5%、DEX流動性プールは2%にとどまります。
レポートは「USDステーブルコインが利回りを求めてDeFiに投入されることが多いのに対し、ローカル通貨ステーブルコインは主にユーザーウォレット、中央集権型取引所、機関のtreasuryで保有されている」と指摘しました。
この傾向は、オンチェーン活動の時間帯にも表れています。レポートによると、EURCを除く非USDステーブルコインでは週末に一貫した活動低下が確認されました。
VisaとDuneはこれを、事業支払い、給与サイクル、treasury決済と整合的なパターンだとみています。24時間動き続ける投機やDeFi運用より、平日の業務フローに沿った利用が多いことを示すデータです。
ユーロ建てが市場を主導、ただし偏りには注意
非USDステーブルコイン市場の中身には偏りもあります。ユーロ建てステーブルコインは時価総額ベースで80%超、移転量ベースでも約85%を占めており、特にEURCが非USD移転量の90%超を占める強い偏重があるとされます。
このユーロ建ての存在感が全体像を押し上げている面があり、非USD市場全体を一枚岩として捉えるのは早計だとみています。
一方で、ブラジルレアル建ては供給と移転量の約10%を占め、シンガポールドルや日本円、中南米通貨に連動する銘柄も小規模ながら増加傾向にあります。ただ、多くの通貨圏では月間送信者数が1,000未満にとどまっており、広範な普及というより、特定用途に集中した利用段階にあるとみられます。
全体の0.3%でも、実務利用の兆し
非USDステーブルコインは急成長しているとはいえ、総ステーブルコイン市場の中ではまだ周縁的な存在です。レポートが前提とする市場規模では、ステーブルコイン全体は3100億ドル超に達しており、そのうち非USDは約0.3%にすぎません。市場の中心が依然としてUSDTやUSDCなどのUSD建てである構図に変化はありません。
それでも、今回の分析が目を引くのは、非USDステーブルコインが「投資対象」よりも「業務で使う資金」に近い振る舞いを見せ始めたためです。クロスボーダー送金やB2B決済、為替管理、給与支払いといった実務に結びつく利用がオンチェーンデータから確認されたことで、ローカル通貨建てステーブルコインの役割は、ドルの代替にとどまらない広がりを見せています。
参照:公式
