ブロックチェーン技術の発展とともに注目を集める「ステーブルコイン」。いま国際的な議論が高まる中で、既存の金融システムとの関係や社会への影響に大きな関心が寄せられています。ドルや円といった法定通貨と価値を連動させることで、“新しいお金のかたち”としての期待も広がっています。
では、ステーブルコインは社会や金融をどのように変えていくのでしょうか。
今回は、桜美林大学・木内卓准教授に今後の可能性について幅広くお話を伺いました。
プロフィール
木内 卓
桜美林大学 ビジネスマネジメント学群 准教授。1986年に東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(当時)に入行し、MUFG財務企画部・監査部や三菱UFJリサーチ&コンサルティング業務管理部長などを歴任。2017年に埼玉大学大学院人文社会科学研究科修士課程、2018年に同博士課程を修了し、博士(経済学)を取得。埼玉大学、跡見学園女子大学、法政大学大学院で非常勤講師を務め、2022年4月より現職。「デジタル通貨フォーラム」行政事務分科会幹事。
─ステーブルコインは、これまでどのような流れで注目されてきたのですか?その背景についてはじめに伺ってもいいでしょうか?
もともとステーブルコインは、暗号資産を取引する際の「待機資金」として利用されてきました。たとえばビットコインを売ってイーサリアムを買うとき、一度銀行に戻してしまうと手数料も時間もかかる。
そこでブロックチェーンの中で一時的に資金を置いておける仕組みが必要になり、その受け皿としてドルに連動したテザーのようなステーブルコインが必要とされたんです。証券取引で言うところのMRFやMMFのような存在ですね。
特にDeFiが広がるにつれてステーブルコインの取引量もさらに拡大しました。暗号資産を使って自動的に貸し借りをしたり、保険をかけたりする際に、安定した価値を持つステーブルコインを介する必要があったんです。
加えてステーブルコインは「プログラム可能」なので、スマートコントラクトを通じて決済や清算の手続きを自動化できる。この点がDeFiにおいて非常に大きな強みだったと思います。
近年では、ブロックチェーンの活用が暗号資産にとどまらず、DAOやNFT、リアルアセットのトークン化といった形で一般社会にも広がってきました。
そうした時に必要になるのは、オンチェーンで完結する決済手段です。いちいち銀行から振り込んだり入金したりせず、ブロックチェーン上でスムーズに取引を終えたい。そのときに法定通貨とリンクしたステーブルコインが最適なんですね。
まとめると、ステーブルコインが注目される理由は大きく二つあります。ひとつは「プログラム可能な通貨」として決済や清算を自動化できる点。
そしてもうひとつは、ブロックチェーン活用の広がりに合わせて、オンチェーンでの決済手段として需要が高まっている点です。こうした背景から、ステーブルコインが注目されているのだと考えています。
─次のテーマにもつながるんですけど、ステーブルコインの「良さ」というか、ここが便利だなとか、価値があるなと思われる点について先生はどう見ていらっしゃいますか?
「ブロックチェーン上で動く決済手段」ということ以外に、プログラムを組み込めるので、条件をつけることで取引が同時に自動処理できる。これが大きな特徴です。
今の普通の決済って、たとえばコンビニで買い物をしたら「商品を受け取る」と「お金を払う」は別のプロセスになってますよね。
あるいは企業間の取引でも、納品して、検収して、請求書を出して、支払いをしてもらって、経理が入金確認をして消し込みをする……という一連の流れがある。
ところがステーブルコインだと、プログラムによって「納品されたら即支払い」といった同時履行が可能になるんです。
つまり経理の確認作業も要らなくなるし、万引きのように片方だけができてしまうリスクもなくなる。ここが大きな利点ですね。
もう一つは、クロスボーダー決済です。今、日本からアメリカに送金しようとすると、銀行をいくつも経由して2〜3日かかるのが当たり前ですし、手数料も何千円とかかってしまう。
でもドル建てのステーブルコインなら、スマホのアプリで送れば、リアルタイムで相手に届く。国内送金でも便利ですが、国際送金でのメリットは圧倒的です。
しかも手数料はごくわずか。これまで何千円もかかっていたものが、もっとぐっと下がる可能性がある。
輸出入の決済はもちろん、海外への仕送りなんかもすごく簡単にできる。これはステーブルコインならではの大きな強みだと思います。
─ステーブルコインが普及してお金の流れが変わったときに、銀行の役割ってどう変わっていくんでしょうか? たとえば発行する側になるのか、それともステーブルコインの運用をまとめて担う側になるのか、そのあたりの見通しを伺えますか?
ステーブルコインが本当に日常的に使われるようになって、しかも規模が大きくなれば、「銀行預金から資金が流出してしまうんじゃないか。銀行に預金がなくなれば貸出ができなくなるんじゃないか。」という懸念は言われていますよね。
でも私自身は、そこまで心配しなくてもいいと思っています。なぜかというと、ステーブルコインにお金を移したとしても、そのお金はどこかに保管される仕組みになっているからです。
たとえば5,000円をチャージしたSuicaと同じように、5,000円分はちゃんと裏付け資産として国債や銀行預金に充てられ、確保されているわけです。
日本でも資金決済法で「分別管理しなさい」と定められているので、結局は銀行や国債を通じて経済に還流していく。だから銀行の資金が完全になくなる、ということはないんです。
ただし、決済手段としての役割はステーブルコインに移っていく可能性はあります。
すでにPayPayのようなキャッシュレス決済に流れているように、もしステーブルコインが普及すれば、より大きなスケールで進むでしょう。
特にアメリカでは、決済事業者や銀行自体がステーブルコインに力を入れ始めていて、預金流出を懸念する声も強いです。
さらに、ステーブルコインの裏付け資産が国債で運用されていると、ステーブルコインからお金が引き出された際に国債を一斉に売却する「ファイアセール」が起きるリスクも指摘されています。規制当局が不安視しているのは、まさにこの部分です。
では銀行はステーブルコインを自ら発行するのか? その可能性もありますが、私は必ずしもそうはならないと思っています。なぜなら銀行にはもともと「預金」という仕組みがあるからです。
銀行は預かった5,000円を全額保管するわけではなく、一部を残して他は貸し出すことで経済を回している。
それでも安全に運用され、預金者は引き出すことができる。つまり銀行はステーブルコインを発行しなくても、既存の預金を「トークン化」すれば同じことができるんです。
実際、世界では「ステーブルコイン」と「トークン化預金(Tokenised Deposit)」、この2つのどちらが主流になるのか議論されています。銀行が自分たちの強みを生かすなら、預金をトークン化する流れは自然だと思いますね。
トークン化預金が進めば、決済にプログラムを組み込めるようになります。
たとえば国債や株式の売買を自動で精算する、サプライチェーンでは部品の納入と支払いを同時に実行する、あるいは貿易金融で石油の輸入と代金の支払いを瞬時に連動させる、といったことが可能になります。
いまは物の流れとお金の流れが別々ですが、それを一つにつなげられるわけです。
つまり、銀行預金をトークン化してプログラムを組み込むことで、一連のプロセスを自動化できるようになるのです。
銀行はもともと大口の決済を担っていて、何十億、何百億という規模のお金を動かしていますから、それをプログラムで効率化できるのは非常に大きな意味があります。
─ステーブルコインが期待されている活用先としては、大手銀行も含めたBtoBの取引決済や、国際的な決済の領域に意義がある、という理解でよろしいですか?
そうだと思います。まさにそこが一番意義のある使い方だと言われていますね。
アメリカでは個人間送金がまだ不便な部分が多いので、個人にとってもステーブルコインは便利だと思います。
ただ日本の場合は状況が違います。すでにPayPayやSuica、クレジットカードといったさまざまな決済手段が一般に浸透していますよね。
多くの人が財布やスマホに複数の決済手段を持っていて、正直「これ以上新しいものはいらない」という感覚なんです。
たとえば、円建てステーブルコインが登場しても、利用者からすると「SuicaでもPayPayでも同じように支払いできるんだから、わざわざ使う理由はない」となる。
裏側の資金精算の仕組みなんて一般の人は気にしませんし、特別にポイント還元があるわけでもなければ、これ以上新しい決済手段をあえて使うメリットはない、というのが正直なところでしょう。
日本の決済インフラはかなり整っていて、ほぼリアルタイムで確実に送金できる。そこがアメリカと大きく違う点です。
アメリカは長らく小切手文化が続いてきた影響もあって、個人間送金にはいまだに不便な面がある。
だからこそアメリカではP2P送金でのステーブルコイン利用に意味がありますが、日本ではすでに利便性が確保されているので、むしろBtoBや国際送金といった分野で本領を発揮していくのだろうと思います。
─米ドルのステーブルコインの動きについても伺いたいのですが。USDCは監査を受けて運営されていますし、USDT(テザー)は古くからあるけれど透明性の面で懸念も指摘されてきました。先生ご自身は、こうしたステーブルコインをどのように評価されていますか?
ステーブルコインの9割以上はドル建てなので、アメリカが中心であることは間違いないです。その中でもUSDCとテザーが二大巨頭です。
テザーは古株で規模も大きい一方、「裏付け資産が確保されているのか不透明だ」「発行元がアメリカにない」といった懸念がつきまとってきました。
実際に裏付け資産の証拠を求めたら、ペロッと預金通帳のコピー一枚が出てきた、なんていう逸話すらあったくらいです。
つまり、規制が整わないまま規模だけ拡大してきたので、不安視されていたわけです。
しかし、この7月にアメリカで「GENIUS法」という新しいステーブルコイン規制の法律が成立しました。
この法律では、ステーブルコインの裏付け資産を国債などの安全資産で100%運用すること、さらに運用内容を毎月開示することなどが義務付けられています。
これによって以前のような懸念はかなり払拭されますし、ステーブルコインの安全性は飛躍的に高まったと思います。
そして今では、さまざまな事業者や銀行がステーブルコインの発行を検討しています。
既に大手決済事業者のStripeが参入している他、AmazonやExpedia、小売大手のWalmartも発行を検討していると報道されています。
これら事業者には自社のステーブルコインを出すことでクレジットカード業者に支払っている手数料を抑えたいという意向があるようです。
さらに、ワイオミング州のように州政府がステーブルコインを発行する事例も出てきました。
つまり、BtoBや国際決済だけでなく、コンビニやスーパーといった一般消費の現場でもステーブルコインが使われる可能性が出てきている。ここはアメリカならではの広がりだと思います。
─ステーブルコインの一番の便利さはP2P取引だと思うんですが、一方で手数料の問題がかなり浮き彫りになってきましたよね。仲介している業者は、このままでは不利になっていくのではないかと感じます。どのような流れになるんでしょうか?
おっしゃる通り、本来ステーブルコインも含まれる暗号資産の特徴は、まさに「中抜き」ができることなんです。
パーミッションレスなブロックチェーンを使うことで、誰でも仲介業者を通さずに自由に取引に参加できるし、自分でウォレットを管理して銀行や決済事業者を通さずに支払える。
トランプ政権が目指しているのも、そういう分散型の世界なんですね。
そうなれば手数料も大きく下がります。クレジットカードならアメリカでも2%ほどの加盟店手数料がかかるし、個人にとっては銀行振込で数百円かかりますが、ステーブルコインなら劇的に下がる可能性がある。
銀行口座を持っていなくても、スマホ一つで支払いができる。
ただし、そこには大きな懸念もあります。仲介業者がいなくなるということは、マネーロンダリングやテロ資金、麻薬資金といった不正利用のチェックもできなくなるということだからです。
これまでは銀行やカード会社が本人確認や大口送金時のチェックをして、不正な資金を排除してきました。
中抜きをするとコストは下がりますが、それができなくなるのが最大の懸念点です。
アメリカもこの点は理解していて、ステーブルコインを推進するにあたり、「不正なお金が入ったらチェーンを凍結し排除する」といった対策が技術的に可能だとしていますが、本当にうまく機能するのかはまだ疑問も残ります。
実際、テザーはマネロンや不正資金に使われていると指摘されていますし、北朝鮮による暗号資産の悪用も有名な話です。
つまり不正利用を「排除する」とは言っているけれど、本当に排除できるのか。ここが大きな課題なんですね。
─アメリカがここまでステーブルコインを推進するようになったのは、やはりトランプ政権での政策転換が分岐点だったのでしょうか?
そうですね。大きな分岐点はやはりトランプ政権です。民主党のバイデン政権の時代は暗号資産やステーブルコインを「いかがわしいもの」と見ていて、SECを中心に厳しく取り締まっていました。
暗号資産関連の企業は銀行口座が実質開けないくらいだったのです。
それが共和党のトランプ政権に変わったことで、180度方針転換しました。「アメリカを暗号資産の中心にする(Make America the “Crypto Capital of the World”)」と打ち出し、銀行にも暗号資産関連のサービスを認めるようになった。
特にステーブルコインを決済システムの中核に据え、基軸通貨ドルの強化に結びつけようとしているんです。
世界的に見れば、貿易決済や各国の中央銀行の準備通貨としては依然としてドルが中心です。
ただ、ロシアへの制裁などをきっかけに「ドルが使えなくなるリスク」が意識され、中国やロシアをはじめ、発展途上国でも「ドル一辺倒は危うい」という考え方が広がっています。
その結果、人民元などの他の通貨や金に資産を振り分ける、いわゆる“ドル離れ”の動きが進んでいるのです。
一方で、ドル建てのステーブルコインが普及すれば状況は変わります。トルコや中南米のようにもともと自国通貨に替えてドルの需要が高い地域でも、スマホのアプリを通じて簡単にドルを保有できるようになります。
個人が現金でしか持てなかったドルを、デジタルで簡単に安全に持てるようになるのは大きな変化です。
さらに、クロスボーダー決済やプログラム化された取引に利用できるようになれば、ドルの利便性は飛躍的に高まります。
結果として、現在進んでいるドル離れを食い止め、むしろ人民元や金に流れていた資金をドルに呼び戻すことができる。
ステーブルコインは、基軸通貨としてのドルの地位を強化する大きな役割を果たす可能性があるのです。
逆にだからこそ、ヨーロッパは警戒しています。ドルの浸透が進めば、自分たちの通貨主権が脅かされると考えているからです。
─日本でもステーブルコインや暗号資産関連の法改正や議論が進んでいる印象ですが、これはアメリカの動きを意識している部分が大きいんでしょうか?
間違いなくアメリカは意識されていると思います。これまで世界的には「暗号資産は怪しいものだから規制しなきゃ」というスタンスでした。
日本も資金決済法を中心に暗号資産規制を強化してきた他、欧米に先駆けてステーブルコイン規制の枠組みも既に導入しています。
でもアメリカが一転して推進に舵を切り業界が確実に大きくなるのが見えている中で、日本としては、暗号資産に対する規制全般も含め、引き続き「規制すべきところは確り規制する」一方、「認めるところは認める」方向で規制の枠組みや適用のアップデートがなされていくものと思います。
─日本円建てのステーブルコインも資金決済法で認められ、実際に出てきています。どういう利用が考えられるのでしょうか?
これはあくまで個人的な意見ですが、普通の個人が日常の支払いで円建てステーブルコインを使うイメージはあまりありません。
すでにクレジットカードやPayPay、Suicaが広く使われていますし、そこに「特別なお得さ」や「便利さ」がなければ、あえて使う理由はないでしょう。
ただし、円建てステーブルコインには2つ大きな可能性があります。ひとつは「プログラマブル」であること。
自動精算や契約条件に応じた同時支払いなど、新しい仕組みに活用できます。もうひとつは「クロスボーダー」、特にアジア圏での利用です。
たとえば、アジア圏では日本のアニメや漫画といったコンテンツが非常に人気があります。
そういったコンテンツとWeb3.0は相性がよく、ブロックチェーンで決済できる円建てトークンが求められていると言われているんです。
そうした分野で円建てステーブルコインが使われれば、日本の価値あるコンテンツがもっとスムーズに海外に広がる手段になります。
ステーブルコインを活用すれば新しい市場を開拓できる。世界に日本の良さが広がっていく。そういう未来を期待しています。
─ここまでのお話を伺っていると、かつてアナログからデジタル、そしてインターネットへと移行していった流れに近いものを感じます。まさに「金融のインターネット化」ともいえますが、今後この流れはどのように進んでいくとお考えでしょうか?
おっしゃる通りで、今まさに「ブロックチェーンをどう活用するか」が大きなテーマになっています。
ブロックチェーンを取り入れて金融システムをより効率的に、高度化していこうというのは、新しい技術によるイノベーションの一環なんですね。
例えば、中央銀行と商業銀行から成り立っている既存の貨幣供給の仕組みを、ブロックチェーンで高度化する。
CBDCやトークン化預金といった取り組みがまさにそれで、今ある金融システムをそのまま活かしつつ、プログラマブルにしていくことで信頼性を保ちながら利便性を高めていくわけです。
参加するプレイヤーが従来と変わらないので、不安は少ないアプローチと言えます。
一方で、アメリカはあえて分散型のアプローチを取ろうとしています。つまり、中央の管理者や既存の仲介業者に頼らず、新しい事業者を積極的に参入させて、未知数ではあるけれど爆発的な効率化や新しいサービスが生まれる可能性に賭けているわけです。
金融という保守的な世界に、全く新しいプレイヤーや考え方がどっと入ってくる。そうなると世の中がどう変わっていくのか、まだ誰にも分からない部分があります。
私はその中間的なアプローチが現実的ではないかと思っています。既存の仕組みや信頼性をしっかり活かしながら、新しいプレイヤーも受け入れて競争を促す。
安全安心な金融の良い部分は確保しつつ、新しい技術も活かしていく。そうしたバランスをとった進め方ができるのではないかと考えています。
─そうですよね。やっぱり思想自体が従来の仕組みとはだいぶ違うので、世の中からすると急激な変化に見える部分もあると思います。ただ実際には、小さな連続的な変化を積み重ねながら活用が広がっていますよね。ステーブルコインの利便性は経済を発展させるうえで大きな可能性だなと強く思います。
お金は経済の根幹ですから、それが変わるというのは非常に大きなインパクトになります。
ステーブルコインの特徴は、誰でもアクセスできて、瞬時に決済できて、しかも自動化もできる「プログラマブルマネー」であるという点です。これは経済のあり方を大きく変える可能性があります。
ただ、その「誰がどう使うのか」、そして「そこから生まれるリスクをどうコントロールするのか」が重要なんです。
金融の世界というのはこれまで、銀行や仲介事業者にルールを課すことでリスクを管理してきました。行政が銀行などの業者に規制監督をかけることで間接的に利用者や社会への影響をコントロールしてきたわけです。
それが分散型の仕組みになったときに、同じようにコントロールできるのか。ここが最大の課題なんですよね。
─最後に、先生ご自身がステーブルコインで最も注目されている点を教えていただけますか。
一番大きいのは「クロスボーダー」と「商流と金流の連携」です。つまり、国境をまたぐお金の流れや取引のプロセスを効率化していくことですね。
効率化というのは単純に「コストを下げる」「事務を減らす」ということです。
これによってお金の流れがよりスムーズになり、取引がより簡単に、そして安くできるようになる。ここにステーブルコインが大きく貢献できる可能性があると思っています。
─今回の取材を通じて、ステーブルコインの可能性と課題を改めて強く実感しました。効率化やグローバルな利用拡大といった明るい側面がある一方で、金融システムの安定性や不正利用への対策といった大きな課題も見えてきます。特に「プログラマブルマネー」という言葉はステーブルコインの本質を表現しており、物とお金を結びつける“新しいお金のかたち”だと感じました。今後も引き続き、この分野の動きを注視していきたいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。