日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」は、ブロックチェーン技術を活用した新しい形の日本円として注目を集めています。
JPYCは1円=1JPYCで発行され、ブロックチェーン上で即時かつ低コストの送金を実現します。2023年の資金決済法改正により法律上は「電子決済手段」として扱われ、価格が需給で変動する暗号資産とは明確に区別されています。
発行開始から現在までのあいだに、対応するブロックチェーンは3つから4つに増え、発行上限も緩和されました。LINEのウォレットやクレジットカードのポイント交換など、実際に使える場面も広がっています。
この記事では、JPYCとは?・メリット・将来性・使い道をわかりやすく解説し、ステーブルコインがもたらす新しい金融の可能性を探ります。
ぜひ、参考にしてみてください。
円建てステーブルコイン「JPYC」とは?

| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 名称 | JPYC |
| 発行開始日 | 2025年10月27日 |
| 発行主体 | JPYC株式会社 (資金移動業者:関東財務局長第00099号) |
| 分類 | 電子決済手段 |
| 価格連動 | 日本円と1:1で連動 (1 JPYC = 1 円) |
| 裏付け資産 | 預貯金・日本国債などで100%以上保全 |
| 発行・償還方法 | 銀行振込による購入・償還(1円単位・手数料無料) |
| 取引上限 | 1回あたり3,000円以上/1日あたり100万円まで (毎日0時にリセット) |
| 対応ブロックチェーン | Ethereum・Polygon・Avalanche |
| コントラクトアドレス | 0xE7C3D8C9a439feDe00D2600032D5dB0Be71C3c29 |
| 公式サイト | https://jpyc.co.jp/ |
| 公式X | https://x.com/jpyc_official |
| 重要事項 | https://jpyc.co.jp/legal/pre-contract-disclosure.pdf |
JPYCは、資金決済法第2条第5項に基づく「電子決済手段」として発行されます。
JPYCは、日本円と常に1:1で価値が連動し、さらに日本円や国債といった裏付け資産によって担保されているため、価格変動リスクがなく、法定通貨に準じた安定性を提供します。
また、JPYCは常に日本円と交換できるという保証があるのが大きなポイントです。日本の法律の枠組みに基づいた安心感を持って利用することができます。
*日本の資金決済法では、ステーブルコインは暗号資産とは異なり、「電子決済手段」として規定されます。
「JPYCの買い方・購入方法」についてはこちらで解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ステーブルコイン(JPYC)と暗号資産(ビットコイン)の違いについて
| 項目 | ステーブルコイン(JPYC) | 暗号資産(ビットコイン) |
|---|---|---|
| 価格変動 | 法定通貨と1:1で安定 | 需給で大きく変動 |
| 価値の裏付け | ◯ 現金・国債等で裏付け(償還可) | × 裏付けなし、需給で価値形成 |
| 法律上の取扱い | 電子決済手段 | 暗号資産 |
| 主な用途 | 決済・送金など | 投資・トレード・運用など |
ステーブルコイン(JPYC)と暗号資産(ビットコイン)の違いについての主な違いを解説します。
ステーブルコイン(JPYC)は、日本円と常に1:1で価値が連動し、さらに日本円や国債といった裏付け資産によって担保されているため、価格変動リスクがなく、法定通貨に準じた安定性が特徴です。
ステーブルコイン(JPYC)は、暗号資産(ビットコイン)とは全く異なります。日本の法律上、電子決済手段に規定されます。
JPYCの流通量|発行開始から9か月で約107倍に
JPYCの実際の普及状況を、ブロックチェーン上の実測データで見てみます。
発行開始から約9か月半で、流通量は約107倍に増えました。特に2026年5月のKaiaチェーン対応以降に伸びが加速しています。
JPYC株式会社の公表値でも、累計発行額は2026年1月末の約13億円から、5月30日には30億円を突破し、口座数は19,000件に達しました。2026年8月時点の保有アドレス数は約7万、累計のトランザクション数は約124万件に達しました。
なぜステーブルコインが注目されているのか?
近年、Tether(USDT)やUSD Coin(USDC)といった主要ステーブルコインの時価総額は合計で約3,000億ドル規模に達しています。
USDT の時価総額は約1,830億ドル(2025年8月時点)
USDC の時価総額は約720億ドル規模(2026年8月時点)
ステーブルコインはもはや巨大な資本が動いている金融インフラの一部となっています。USDTとUSDCの2銘柄で市場全体の約8割を占めており、この2つが基軸となる構図は続いています。
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【取材】ステーブルコインは金融をどう変えるのか?新しいお金のかたち|桜美林大学 木内卓 准教授
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「ステーブルコインは金融をどう変えるのか?―新しいお金のかたち」をテーマに、桜美林大学の木内卓准教授にステーブルコインの可能性と今後の展望について伺いました。ぜひ、あわせてご覧ください。
①プラグラマブルマネー
ステーブルコインが注目を集めている理由のひとつが、「プログラマブルマネー」という特性を持つ点です。
これは、ブロックチェーン上で動作するスマートコントラクト(自動契約)と連動し、お金の動きをコードで制御できる仕組みを指します。
たとえば、支払い条件を自動化して「納品が確認されたら自動で送金する」「一定の期間ごとに配当を支払う」といった処理を、人の介在なく安全かつ透明に実行できます。
この仕組みは、従来の銀行システムやクレジット決済では実現が難しかった自動化や効率化を可能にします。
ステーブルコイン「JPYC」の特徴・メリット
ここでは、JPYCが持つ特徴とメリットについて、わかりやすく解説します。
法規制に準拠した円建てステーブルコイン
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JPYCは1円=1JPYCの等価交換が保証されており、購入時も利用時も同じ価値で扱われます。
発行残高は預貯金や日本国債といった安全性の高い資産で100%以上が保全され、信託銀行による分別管理も行われています。利用者の資金は常に裏付けを持って管理される設計です。
即時・低コストの送金機能

JPYCの大きな利点は、送金のスピードとコストの低さです。
銀行振込を通じて誰でも簡単に発行(購入)でき、わずか1円から最短1秒で世界中へ送金が可能です。
特に、海外送金では数日かかる場合が多く、送金手数料も高額でしたが、JPYCを使えばリアルタイムかつ手数料1円以下(チェーンによって変動)が実現できます。
BtoB決済や国際決済の分野でも活用が期待されています。
発行・償還の運用方針

JPYCでは、取引ごとの上限が設けられています。
| 区分 | 1回あたり |
|---|---|
| 発行 | 100万円まで |
| 償還 | 100万円まで |
これらの上限は毎日0時にリセットされるため、日をまたいで繰り返し取引が可能です。
また、すべての発行・償還手続きが手数料無料で利用できます。
マルチチェーンに対応

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JPYCは現在、Ethereum・Polygon・Avalanche・Kaiaの4つのブロックチェーンに対応しています。
2026年5月15日、初の追加対応チェーンとしてKaiaでの発行が始まりました。Kaiaは、Kakao系の「Klaytn」とLINE系の「Finschia」が統合して誕生したレイヤー1ブロックチェーンで、韓国・インドネシア・タイ・台湾などアジア圏に強みを持ちます。
ステーブルコイン「JPYC」の使い道・活用事例
JPYCは発行開始から9か月あまりで、実際に使えるサービスが着実に増えました。ここではサービスごとに、何ができるのかを個別に見ていきます。
| サービス | できること |
|---|---|
| Unifi | LINEアプリ上でJPYCを保管・入出金 |
| HashPort Wallet | 発行・償還・決済がアプリ内で完結 |
| Nudge | クレジットカード代金をJPYCで返済 |
| ダイナースクラブ | カードのポイントをJPYCに交換 |
| N Suite | JPYCを預けて年4%の利回り |
| ローソン店頭決済 | POS連携でのJPYC決済 |
| 物流の支払い基盤 | 委託ドライバー・取引先への支払い |
Unifi — LINEアプリの中でJPYCを持てる

LINEアプリ上で動くウォレット「Unifi」が2026年5月22日にJPYCへ対応し、LINE上でJPYCの保管と入出金ができるようになりました(LINEアプリ上のウォレットとしては国内初)。JPYCを使うには通常MetaMaskなどを別途用意する必要がありますが、Unifiなら普段使っているLINEの中で完結するため、暗号資産に馴染みのない人がJPYCに触れる入口として現状もっとも敷居が低い選択肢です。
HashPort Wallet — 発行から償還まで1つのアプリで

2026年1月28日にJPYC決済へ対応してガス代(ブロックチェーンを使うときの手数料)の一部を運営側が負担するガスレス決済を導入し、さらに同年7月13日にはアプリ内でJPYCの発行と償還が完結する機能を追加しました。通常はJPYC公式サイトで発行予約をしてウォレットへ送る2段階が必要ですが、この機能ならアプリだけで買って現金に戻すところまで進みます。大阪・関西万博のデジタルウォレットとして約100万ダウンロードを記録し、2026年3月時点で115万を超えた、JPYC利用者の最大の受け皿です。
Nudge — クレジットカードの支払いをJPYCで

ナッジのクレジットカードは2025年10月27日、JPYCの発行開始と同じ日からJPYCによる返済の受付を始めました。指定のウォレットアドレスにJPYCを送金するとカードの利用額が返済される、国内初のステーブルコインによるクレジットカード返済です。カード自体はVisa加盟店で使えるため、支払いは普通にカードで行って返済だけをJPYCで済ませる形になり、JPYCに対応していない店でも間接的にJPYCで払ったのと同じことができます。ただし提供開始時点では対象ユーザーが限定されていたため、現在の受付状況をご確認ください。
ダイナースクラブ — カードのポイントをJPYCに交換

三井住友トラストクラブは2026年5月26日、ダイナースクラブおよびTRUST CLUBのカードで貯めたポイントをJPYCに交換できるサービスを発表しました(日本のクレジットカードとしては初、受け取りはHashPortのウォレット経由)。ポイントは有効期限があり使い道も限られますが、JPYCに換えれば日本円と同じ価値のまま送金や決済に回せます。2026年6月1日開始予定と発表されているものの実際に開始されたかは公表資料からは確認できなかったため、利用の際は公式サイトで最新の状況をご確認ください。
N Suite — 預けて年4%の利回りを得る

double jump.tokyoの法人向けウォレット「N Suite」は2026年5月20日に「トレジャリーアクセスプラン」を追加し、Bifrostの「BTCFi Boost」を通じたJPYCレンディング(固定APY 4%)に対応しました。JPYCを預けて借りたい人に貸し出し、その利息を受け取る仕組みで、銀行預金に近い感覚ではあるものの、金利は運営元やブロックチェーン上の需給で決まり預金保険の対象にはなりません。法人向けのプランのため、企業が保有する日本円建て資産の置き場として想定されています。
ローソン店頭決済 — 実証実験の段階

2026年8月、ローソン高輪ゲートウェイシティ店でPOSレジと連携したステーブルコイン決済の実証実験が行われ、JPYC(Polygon)を使った決済は2〜3秒で完了したと報告されています(ローソン・KDDI・HashPortの3社は同年7月10日に基本合意書を締結)。ただしこの実証は関係者限定で一般の買い物客は対象外であり、「ローソンでJPYCが使える」段階には至っていません。コンビニでの実用化に向けた検証が始まったところだと捉えてください。
物流の支払い基盤 — 構築予定

AZ-COM丸和ホールディングスは2026年7月22日、JPYCと資本業務提携を結びました(出資額は約10億108万円で議決権ベースでは2.9%、同社ネットワークには2,968社の会員企業が参加=2026年6月末時点)。委託ドライバーや取引先への支払いをJPYCで効率化するプラットフォームが計画されていますが提供時期は公表されておらず、小口の支払いが大量に発生する物流業界は送金コストの削減効果がもっとも出やすい領域のひとつです。
銀行口座からの直接購入 — 構想段階

ソニー銀行は2026年3月2日にJPYCと基本合意書を締結し、銀行口座からのリアルタイム振込によってJPYC EXで直接JPYCを購入する機能や、エンターテインメントIPとの連携を構想しています。現在のJPYC購入は発行予約をして指定口座へ振り込み着金を待つ流れのため、口座から直接買えるようになれば手順が一気に短くなり、銀行がステーブルコインの入口になる国内の初期事例としても注目されますが、現時点では基本合意の段階でサービスは提供されていません。
ステーブルコイン「JPYC」の買い方・購入方法
JPYCは、銀行振込で日本円を送金するだけで、1 円 = 1 JPYCのレートで簡単に発行できます。
以下の5つのステップで、誰でもスムーズに利用を始められます。
step
1アカウント開設

まず、JPYC公式サイトでアカウントを作成します。

メールアドレスを入力し、確認メールを送信します。メールアドレスに登録受付のメールが届きます。
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アカウント種別「個人」を選択し、ログインパスワードを設定していきます。
ログインパスワードは半角10文字以上、英小文字、英大文字、数字、記号を全て使用して作成します。

これでログイン設定が完了です。
ログイン画面へ移動します。
step
2最短1分!本人確認
ここからは、本人確認の事前準備をしていきます。

事前準備として、「LIQUID eKYC」のアプリをダウンロードしましょう。

アプリをダウンロードしましょう。

アプリをダウンロードしたら、「次へ」をタップします。
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事前準備にチェック、各書類にチェックをしていきます。

つぎに、マイナンバーカードを使って、スマホからオンライン本人確認を行っていきます。

- マイナンバーカードを用意
- 署名用電子証明書のパスワード入力
- スマートフォンにかざす
簡単3ステップで、最短1分で本人確認が完了。
身分証の写真アップロードが不要なため、手続きもスピーディです。

これでオンライン本人確認が完了です。
再度、ログイン画面に移動します。
つぎに、基本情報を入力していきます。
![]() | ![]() |
マイナンバーから取得した情報は自動入力されています。
空欄の箇所を入力していきましょう。

登録情報の審査が開始されます。
審査結果が登録したメールアドレスに届きます。
step
3ウォレットアドレスの登録

つぎに、JPYCを受け取るためのウォレットアドレスを登録します。
![]() | ![]() |
ウォレット接続をタップし、アドレスを登録していきます。
推奨ウォレットはMetaMask(メタマスク)です。
![]() | ![]() |
公式リンクであることを確認し、メタマスクを接続をタップします。
併せて、アバランチネットワークの追加を、「確定」をタップして承認しましょう。

これでウォレットアドレスの登録が完了です。

マイページへ移動し、出金口座の登録を済ませましょう。

出金口座登録からお使いの銀行口座を登録します。
step
4発行予約・銀行振込で入金
つぎに、メニューからJPYC発行をタップし、JPYCを購入していきます。

希望するネットワークとJPYC金額を入力して発行予約を行います。
Polygon、Avalancheは最低発行額3,000円から、Ethereumは最低発行額100万円からになっています。
少額での購入でしたら、Polygon、Avalancheを選択し発行予約をしましょう。

発行予約を完了後、指定口座へ日本円を振り込みます。
step
5JPYCの発行完了

発行が完了すると、登録したメールアドレスに通知が届き、ウォレットにJPYCが入金されます。

最後に、メタマスクにJPYCを表示させていきます。「+」のボタンをタップします。

以下のコントラクトアドレスを入力し、「JPYC」をインポートしていきます。
0xE7C3D8C9a439feDe00D2600032D5dB0Be71C3c29

これでJPYCが表示され、入金されていることを確認できるようになります。
ステーブルコイン「JPYC」の将来性
日本円と1:1で連動するステーブルコイン「JPYC」は、DeFi、国際決済、Web3サービス決済など幅広い分野での活用が期待されています。
ここでは、今後のJPYCの将来性について解説していきます。
1.円建てDeFi市場の構築
ステーブルコインは、DeFi領域で非常に強い存在感を持っています。
DeFiでの流動性プール/レンディング/借入/資本運用において、安定価値を持つ通貨として「担保・決済ベース通貨」の役割を果たしています。
これまでDeFi市場は、米ドル建てステーブルコイン(USDC、USDT、DAI)が中心でした。
DeFiプロトコルにおいて「円建てステーブルコイン」を担保・決済通貨とする仕組みが登場すれば、日本円圏のDeFi市場が形成され得ます。
- 円建ての金融取引が可能になる
- 投資家が為替リスクを取らずに参加できる
- 日本円をベースにしたグローバル金融エコシステムが構築される
といった新しい可能性が生まれます。
つまり、USDCが米ドルのDeFi基盤通貨となったように、JPYCも「円圏のDeFi基盤通貨」として機能する可能性があります。
2.新たな資金移動手段

JPYCは、ブロックチェーン技術を活用しながらも法制度に準拠したステーブルコインであり、「安全性」と「利便性」の両立があります。
特に、即時性・低コスト性を活かして、給与支払い、EC決済、海外送金、さらにはWeb3プロジェクト内での決済など、従来の送金や決済を補完・代替する新たな金融インフラとしての役割が期待されています。
3.グローバル規模の決済インフラ
グローバル規模のWeb3経済圏の決済インフラとしての可能性があります。
RWA(現実資産のトークン化)やNFT、IPトークンといったブロックチェーン上の資産が増える中で、JPYCはその「価値の橋渡し役」として重要性を増しています。
トークン取引やNFTマーケットでは、法定通貨に裏付けられた円建てステーブルコインの利便性が増し、グローバルな決済パイプラインとして国内外での活用が期待されます。
今後、RWA・NFT・IPトークンなど、実体経済とWeb3をつなぐ“日本発のWeb3決済ハブ”として進展していくでしょう。
ステーブルコイン「JPYC」のデメリット・懸念点
利便性や将来性が注目される一方で、ステーブルコイン「JPYC」にも利用上の注意点やリスクが存在します。
ブロックチェーン特有の管理・誤送金リスクなどの課題も無視できません。
ここでは、JPYCを利用する際に知っておきたい主なデメリット・懸念点について解説していきます。
JPYCの利用難易度
JPYCを使うには、ウォレット(例:MetaMask)の設定やブロックチェーンの基本知識が必要です。
ウォレットやガス代の仕組みを理解していないと、JPYC受け取った後の操作で戸惑うこともあります。
初心者にとっては手続きがやや複雑で、慣れるまでに時間がかかる点が課題です。
誤送金のリスク
JPYCはブロックチェーン上で送金を行うため、一度送ってしまうと取り消しができません。
送り先アドレスを間違えると、資産が永久に失われる可能性があります。
従来の銀行振込のようにサポートセンターが介入できないため、利用者自身の確認ミスが致命的な損失につながる点は大きなリスクです。
そのため、ウォレットからJPYCを送金する際には、必ず少額から送金するようにしましょう。
ハッキング・詐欺・フィッシングのリスク
ウォレットを自分で管理する仕組み上、ハッキングや詐欺による被害が発生するリスクもあります。
たとえば、偽サイトでシードフレーズを入力してしまったり、詐欺トークンを誤って承認したりすると、ウォレットの秘密鍵が盗まれる恐れがあります。
秘密鍵が漏れると、ウォレット内の資金が全て盗まれてしまいます。
被害が発生しても自己責任となるため、ウォレットの接続や承認に関しては、十分に注意しましょう。
利用環境・普及率の問題
JPYCは制度的な整備が進みつつあるものの、実際に利用できるサービスは限られている可能性があります。そのため、対応事業者の拡大には時間がかかると見られます。
そのため、「使いたくても使える場所が少ない」という現状が、今後の普及の壁となっています。
ステーブルコイン「JPYC」のよくある質問(Q&A)
Q. JPYCとは何ですか?
A. 日本円と1:1で連動するステーブルコインです。発行残高は日本国債や預貯金など安全性の高い資産で100%以上が保全されており、資金決済法にもとづく「電子決済手段」として運用されています。暗号資産ではありません。
Q. JPYCはどこで購入できますか?
A. JPYC公式サイト(https://jpyc.co.jp )から、銀行振込を通じて1円=1JPYCで発行(購入)できます。アカウント登録と本人確認の完了後に購入可能です。
Q. 本人確認に使用できる書類は?
A. マイナンバーカード(個人番号カード)のみです。署名用電子証明書のパスワードを入力し、スマートフォンにかざすことで最短1分で完了します。運転免許証などは使用できません。
Q. 1回にいくらまで購入できますか?
A. 発行上限は1回あたり100万円です。2026年5月15日のアップデートで、それまでの「1日あたり100万円」から変更されました。最低発行額はネットワークによって異なる場合があるため、発行予約画面の表示をご確認ください。
Q. JPYCの送金はどのくらい早いですか?
A. ブロックチェーンを利用しているため、最短1秒で世界中へ送金できます。送金手数料はチェーンによって異なりますが、1円未満に収まる場合がほとんどです。
Q. JPYCを使うためにウォレットは必要ですか?
A. 必要です。JPYCはブロックチェーン上で管理されるため、MetaMaskなどのウォレットを用意し、そのアドレスを登録することで送受金ができるようになります。LINEアプリ上のウォレット「Unifi」やHashPort Walletなど、選択肢は増えています。
Q. 発行・償還手数料はかかりますか?
A. 発行・償還ともに手数料は無料です。ただし振込時の銀行振込手数料は利用者負担となります。
Q. 入金期日が過ぎたり、入金額を間違えたらどうなりますか?
A. 入金期日を過ぎた場合、または入金額が予約金額と一致しない場合、JPYCの発行は成立せず全額返金となります。返金には利用者自身による「組戻し手続き」(金融機関での申請)が必要で、金融機関所定の手数料が発生します。
Q. JPYCはどのブロックチェーンで使えますか?
A. Ethereum・Polygon・Avalanche・Kaiaの4チェーンに対応しています。2026年5月にKaiaが追加され、同年8月時点ではKaiaが流通量の約7割を占めています。
Q. JPYCのメリットは何ですか?
A. 法的に裏付けられた円建ての決済手段でありながら、即時・低コストで送金できる点です。個人間の送金から企業間決済、海外送金まで幅広く使えます。
Q. JPYCにデメリットはありますか?
A. 誤送金が取り消せないこと、フィッシング詐欺などのリスクがあること、ウォレットの操作知識が必要なことが挙げられます。使えるサービスは増えていますが、日常の買い物で当たり前に使える段階にはまだ達していません。
Q. JPYCは利息を生みますか?
A. JPYC自体に利息はつきません。ただしレンディングサービスに預けることで利回りを得られる場合があります。たとえばdouble jump.tokyoの「N Suite」では、2026年5月から固定APY 4%のJPYCレンディングが提供されています。元本保証はなく、事業者の破綻やシステム上の不具合で資産を失う可能性があるため、リスクを理解したうえで利用してください。
Q. JPYCは安全ですか?
A. JPYC株式会社は金融庁(関東財務局)に登録された資金移動業者として、法令にもとづく管理体制のもとで運営されています。発行残高は日本国債や預貯金など安全性の高い資産で100%以上が保全され、信託銀行による分別管理も行われています。ただし、これは発行体の信用に関する話であり、利用者自身のウォレット管理のリスクは別に存在します。
Q. 暗号資産の法律が変わるとJPYCも影響を受けますか?
A. 受けません。2026年7月15日に成立した改正法で暗号資産は金融商品取引法へ移管されますが、ステーブルコイン(電子決済手段)は引き続き資金決済法の枠組みに残ります。JPYCは移管の対象外です。
Q. 他の円建てステーブルコインとは何が違いますか?
A. 2026年6月にSBI新生信託銀行が信託型の「JPYSC」を開始しました。信託型には送金上限がなく企業間の大口決済に向くのに対し、資金移動業型のJPYCは1回100万円の上限がある代わりに個人が使いやすい設計です。
Q. JPYCはどんな用途で使われていますか?
A. LINEウォレットでの保管・送金、クレジットカードの返済やポイント交換、漫画プラットフォームでの課金、企業間の支払い、子ども食堂への寄付、キャンペーンのインセンティブ配布など、用途は多方面に広がっています。
まとめ
円建てステーブルコイン「JPYC」は、2025年10月の発行開始から約9か月で流通量を約107倍に伸ばし、実際に使えるサービスも着実に増えました。
2026年に入ってからの変化は特に大きく、5月には発行上限が「1回100万円」に緩和され、対応チェーンにKaiaが加わりました。LINEアプリ上のウォレットやクレジットカードのポイント交換など、暗号資産に馴染みのない人でも触れられる入り口が増えています。預けて利回りを得るレンディングも、実サービスとして動き始めました。
一方で、日常の買い物で当たり前に使える段階には至っていません。報道の多くは実証実験や検討段階のもので、「使えるようになった」と「使えるようになる予定」の区別がつきにくいのが現状です。誤送金が取り消せない、秘密鍵を自分で守る必要があるといったブロックチェーン特有のリスクも変わりません。
暗号資産の価格が半値近くまで下落した局面でも、ステーブルコイン全体の発行残高はほぼ横ばいを保ちました。値上がりを狙う資産ではなく、価値を安定して運ぶ器としての役割が定着しつつあることの表れです。JPYCがその日本円版として、どこまで生活と経済に入り込んでいくのか。今後の動きに注目が集まります。











