米ベンチャーキャピタル大手アンドリーセン・ホロウィッツの暗号資産部門a16z cryptoは3月22日、AIエージェントがオープンな支払いプロトコルを通じて自律的に売買する「Open Agentic Commerce」の概念を打ち出しました。
Curated agent marketplaces look a lot like AOL. Open payment protocols look a lot like HTTP. The last time this happened, HTTP won.
What will prevail in the age of agentic commerce? pic.twitter.com/hFura0Sbxx
— a16z crypto (@a16zcrypto) March 22, 2026
広告収入に支えられてきたインターネットの収益構造が、ステーブルコインを使ったマイクロペイメントへ移る可能性を示す内容で、暗号資産業界でも関心を呼んでいます。
a16z cryptoが同日公開した記事「Open Agentic Commerce and the end of ads」では、AIエージェントが人間の代わりに情報やサービスを探し、必要に応じてその場で支払う世界観を示しました。
検索結果やコンテンツの周辺に広告を並べて収益化するこれまでのモデルではなく、エージェント自身がデータやAPI、コンテンツへのアクセス権を直接買う仕組みが、インターネットにより自然な経済圏をもたらすという主張です。
背景には、生成AIの普及に伴うウェブ流入の変化があります。記事によると、GPT-4の公開以降、技術者向けQ&AサイトのStack Overflowのトラフィックは75%減少し、テック系ニュースサイトのトラフィックも60%落ち込んだといいます。
ユーザーが検索エンジンや個別サイトを経由せず、AIの回答画面で情報取得を完結させるケースが増えれば、広告表示を前提としたウェブの収益構造は揺らぎます。
a16z cryptoの投資家で記事の著者を務めたSam Ragsdale氏は、「広告が自由でオープンなインターネットを生み、そのインターネットがLLMを育てる10兆トークン規模のデータセットになり、結果として広告の衰退を招いたことには美しい皮肉がある」と記しました。広告がAI時代の土台を築きながら、そのAIによって役割を薄められるという見立てです。
注目されるのは、その受け皿として暗号資産ベースの支払いレールが据えられている点です。Open Agentic Commerceを支える具体例として、Coinbaseのx402、TempoとStripeによるmppが挙げられました。いずれも、HTTPのやり取りに近い形で機械同士が支払いを実行できるようにする試みで、ステーブルコインを使ったサブセント、つまり1セント未満の少額決済を可能にするとしています。
x402は、1997年に提案されたHTTPステータスコード「402 Payment Required」を現代的に捉え直した考え方に基づくものです。ウェブ上のリソースにアクセスする際、支払い条件をプロトコルレベルで示し、決済完了後にデータやサービスを受け取る流れを想定しています。
a16z cryptoは、こうした仕組みが整えば、AIエージェントは広告付きの無料サービスを回遊するのではなく、必要な情報だけをその都度買う行動に移るとみています。
キュレーションされたエージェント向けマーケットプレイスをかつてのAOLに、オープンな支払いプロトコルをHTTPになぞらえました。閉じたポータル型サービスではなく、共通規格としてのHTTPがウェブを広げた歴史を引き合いに出し、エージェントコマースでも同じ構図が起こるかを問いかけています。
AIエージェントによる自律的な支払いが広告モデルに衝撃を与え、x402やmppのようなオープンプロトコルがインターネット経済を組み替える可能性があると紹介しました。
参照:公式