Startale Groupが3月下旬に総額6300万ドルのSeries A資金調達を完了し、日本発Web3企業として進めてきた垂直統合戦略を一段と前進させました。今回の資金調達は、SBIホールディングスとSony Innovation Fundの支援を受けたものです。
この動きを理解するうえで、比較対象として分かりやすいのが米Coinbaseです。Coinbaseは単なる暗号資産取引所ではなく、取引、カストディ、決済、資金調達支援といった複数の機能を取り込みながら、Web3における一気通貫の体験を構築してきました。Startaleが目指しているのも、単一プロダクトの成長ではなく、複数の機能をグループ内で接続し、相乗効果を生み出す「Coinbase型」の垂直統合モデルだとみられます。
同社CEOの渡辺創太氏もXへの投稿で、Startaleの事業価値は「1レイヤーのプロダクト単体ではなく垂直統合にある」と明言しました。さらに、CoinbaseやCircle、Robinhoodも同じ方向へ動いているとしたうえで、「ここからの数ヶ月がスケーリングとプロダクト間のシナジーを出して相乗効果を高めるフェーズ」と述べています。
Coinbaseに見る、垂直統合の競争力
暗号資産業界ではこれまで、取引所、ウォレット、ブロックチェーン、決済基盤といった機能が個別に評価される場面が多くありました。しかし足元では、単機能の優劣よりも、それらをどこまで一気通貫でつなげられるかが競争力になりつつあります。

Coinbaseは、売買の場を提供するだけでなく、資産保管、決済、機関投資家向けサービス、さらにはオンチェーンでの資本形成支援まで領域を広げてきました。2025年にはEchoやLiquifiの買収を通じてWeb3インフラの取り込みを進め、取引、カストディ、決済、発行体支援をまたぐ統合を強めています。
この戦略の強みは、ユーザーや事業者が複数の外部サービスを行き来しなくても、グループ内のサービス群を通じてシームレスに体験できる点にあります。つまりCoinbaseの価値は、個別のサービス単体ではなく、それらが連携して生み出す総合的なネットワーク効果にあるといえます。
Startaleは「チェーン企業」ではなく、フルスタック型Web3企業を目指す
Startaleは年初から一貫して、2026年を「垂直統合の年」と位置づけてきました。1月の公式ブログでは、ステーブルコインが投機対象ではなく実用的な金融ツールへ進化する流れを指摘。3月6日に公開した別のブログでは、AIとブロックチェーンが結びつく新しい経済圏では、単独のプロダクトを持つだけでは不十分であり、インフラからアプリケーションまでを連動させる仕組みが重要になると説明しています。
| レイヤー | Startale Group | SBIグループ |
|---|---|---|
| 顧客接点 | SBI証券 SBI Global Asset Management | |
| ステーブルコイン | JPYSC USDC RLUSD | |
| ウォレット | Startale App | — |
| 取引所 | — | SBI VC Trade ODX Coinhako |
| トークン化 | — | 新生信託銀行 SBI Onchain |
| 開発ツール | Cloud Services | — |
| ブロックチェーン | Strium | |
Startaleの事業ポートフォリオを見ると、機関向けブロックチェーン基盤の「Strium」、Sonyと共同開発するEthereumレイヤー2「Soneium」、公開チェーンの「Astar Network」、消費者向け接点となる「Startale App」、さらに「JPYSC」や「USDSC」といったステーブルコイン群まで、役割の異なる複数プロダクトが並んでいます。
重要なのは、これらを別々の事業として持っているのではなく、ひとつのグループ戦略として接続しようとしている点です。ブロックチェーン基盤、決済や価値移転の手段、一般ユーザー向けアプリを同じグループ内で循環させることで、インフラから利用体験までを自社エコシステム内で完結させる構図が見えてきます。
CircleやRobinhoodも同じ方向へ 競争軸は「単機能」から「統合力」へ
Circleは2025年8月、Ethereum互換の独自レイヤー1「Arc」を発表し、USDCを中心とするステーブルコイン基盤の統合を進めました。Robinhoodも2026年2月、ステーキングやトークン化資産、オンチェーン基盤の拡充を打ち出し、金融サービス向けの独自L2「Robinhood Chain」の開発を進める方針を明らかにしています。
これらの動きに共通するのは、単一のウォレット、単一のチェーン、単一の取引機能だけでは差別化が難しくなりつつあることです。
その意味で、StartaleがCoinbase、Circle、Robinhoodと目指している戦略の方向性は共通しています。Startaleがどこまで日本発のフルスタックWeb3企業として存在感を高められるかが注目されます。
参照:公式
