ビットコイン採掘事業者の収益環境が、足元で大きく悪化しています。オンチェーン分析を手がけるCheckonchainの試算によると、2026年3月中旬時点の平均生産コストは1BTCあたり約8万8,000ドルとなりました。同時期の市場価格は約6万9,200ドルにとどまり、ネットワーク全体では1BTCあたり約1万9,000ドルの赤字、損失率はおよそ21%に達しています。

この採算悪化と並ぶかたちで、ネットワーク指標にも変化が見られます。3月の難易度調整では前回比7.76%の低下となり、133.79Tまで下落しました。年内では2番目の大きな下げ幅です。ハッシュレートも約920EH/sまで落ち込み、平均ブロック生成時間は12分36秒に延びました。採算の合わない一部マイナーが稼働を抑えた可能性が意識されています。
背景にあるのはエネルギーコストの上昇です。中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が1バレル100ドルを超える水準で推移し、電力価格にも上昇圧力がかかりました。電力コストへの依存度が高い採掘ビジネスにとって、価格下落と燃料高が同時に進む局面は収益を圧迫しやすく、今回の逆ざや拡大につながったとみられます。
今回の8万8,000ドルという水準は、あくまでネットワーク全体の平均を示す推計値です。実際のコストは電力単価や設備効率によって大きく異なります。効率の高い上場マイナーでは、キャッシュベースで7万ドル前後に抑えられている例もあります。別の指標としてMacroMicroが示す推計では、3月21日時点の生産コストは8万3,076ドルとやや低く、前提の違いによって一定の幅があることも確認されています。
市場価格は足元でも弱含みです。ビットコインは6万7,800〜6万8,800ドル台で推移しており、平均生産コストを下回る状況が続いています。この水準では、資金余力の乏しいマイナーほど保有BTCの売却や設備停止を迫られやすく、需給面で相場に影響が及ぶ可能性があります。