米資産保管大手BNYは5月7日、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM、アブダビの国際金融特区)でフィンストリート・リミテッド、ADIファウンデーションと戦略提携し、UAEの機関顧客向けにビットコインとイーサリアムのカストディ(保管)を始めると明らかにしました。保管・管理資産59.4兆ドルを抱える世界首位のカストディアンが、アブダビの規制枠組みの下で現地のデジタル資産基盤と組み、中東で伝統金融とオンチェーン市場の接続を進めます。
初期段階では、フィンストリートのクライアントとその周辺エコシステム向けにビットコインとイーサリアムの保管を扱います。対象はここで終わらず、ステーブルコイン、トークン化した実物資産、そのほかの規制対象デジタル商品にも広げる計画で、ADIファウンデーションが運営するADIチェーンへの接続も視野に入れています。
BNYは2026年3月31日時点で保管・管理資産59.4兆ドル、運用資産2.1兆ドルを抱え、フォーチュン500企業の90%超(フォーチュン100を含む)にサービスを提供しています。米G-SIB(グローバルなシステム上重要な銀行)として初めてデジタル資産カストディを手がけた実績もあり、今回の提携は、暗号資産ネイティブ企業ではなく世界最大級の伝統金融機関がUAEの制度下で機関投資家向けサービスを広げる案件になります。
フィンストリートはADGMのライセンスを持つデジタル市場インフラ企業で、MTFやカストディを運営しています。共同創業者でグループディレクターのアクシャイ・マハジャン氏は、自社を「デジタル証券への主要なアクセスポイント」と紹介し、アブダビの金融エコシステムへのグローバルな入口になると述べました。ADIファウンデーションはIHC関連の非営利組織で、ADIチェーンを中東・北アフリカ(MENA)地域初の機関向けレイヤー2として展開しています。
ADIチェーン側では、すでに稼働中の案件も出ています。2026年2月には、ディルハム建てステーブルコインDDSCがUAE中央銀行のライセンスを受けて立ち上がりました。ADIファウンデーションの公式サイトには、ブラックロック、フランクリン・テンプルトン、マスターカードとの提携実績も掲載されており、ステーブルコインや実物資産トークンの受け皿として機関向け基盤を整えていることがうかがえます。2030年までに10億人をブロックチェーンへ参加させる目標を掲げ、到達人数は5億人超としています。
まずはフィンストリートの顧客向けにビットコインとイーサリアムの保管から始め、その後はステーブルコイン、トークン化した実物資産、ADIチェーン上の規制対象デジタル商品へと範囲を広げていきます。
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