日本ブロックチェーン基盤株式会社は5月13日、信託財産で裏付ける日本円建てステーブルコイン「EJPY」を、自社が運営するイーサリアム完全互換のパブリックチェーン「Japan Open Chain(JOC)」とイーサリアム上で発行する方針を正式に決めました。2026年度内の流通開始を視野に入れ、企業向けブロックチェーンとして育ててきたJOCを、決済や送金を担う金融インフラへつなげる段階に入ります。
同社は2018年4月設立のWeb3インフラ運営会社です。今回の発表では、EJPYに必要な信託型スキームの組成にめどが立ったとし、自社を委託者に据え、受託者となる事業者と発行・償還、信託財産の管理、システム要件、法令対応をめぐる具体的な協議を重ねてきた経緯を明かしました。発表の意味合いは発行準備の正式化で、JOC上の流通を中核に置きながら、イーサリアムを含む複数チェーン対応も視野に入れます。
稲葉大明代表取締役は、ステーブルコインを「ブロックチェーン上で実際の価値移転を可能にする、次世代の金融インフラの中核」と説明し、「まずはJOC上での発行・流通を中核として準備を進め、企業間決済、デジタル資産決済、クロスボーダー決済など、実需に基づくユースケースの創出を進めてまいります」とコメントしました。企業や金融機関、自治体が安心して使える日本法準拠の決済基盤を掲げており、当面は個人向け小口決済よりも、業務用途の大きい領域から取り込みを図ります。
JOCの信頼性を支えるのは、国内企業を中心とした分散運営です。JOCはL1ブロックチェーン(基盤ネットワーク)で、電通、NTTコミュニケーションズ、G.U.テクノロジーズ、TISなど14社がコンソーシアムを組み、バリデータとしてノード運用を担っています。将来は21社まで広げる計画で、日本企業が法令に沿って分散管理する体制を、企業や金融機関、自治体が使う際の信頼につなげます。
EJPYが信託型を採る理由は、大口送金への適合性にあります。国内で先行する資金移動業型の円建てトークンには送金上限の枠がある一方、信託型はその制約を受けにくく、企業間の高額決済や機関投資家を含む取引フローに載せやすい仕組みです。利用者向けの販売、移転、償還は電子決済等取扱業者(ステーブルコインの販売や移転を担う事業者)との連携を想定しており、日本法に沿った体制で扱います。
JOC側では、G.U.テクノロジーズが提供する発行・管理システム「G.U. Coin Studio」の整備も続いています。金融機関向け会計システムとの連携を想定した仕組みで、今回のEJPYは、JOCが用意してきたステーブルコイン基盤を実際の発行案件に落とし込む初の具体例となります。JOC公式アカウントも同日、「EJPY、いよいよ始動。日本ブロックチェーン基盤が信託型スキームによる発行を正式決定」と発信し、企業間決済、デジタル資産決済、クロスボーダー決済を主な用途として挙げました。
日本ブロックチェーン基盤は、2026年度内、つまり2027年3月までのJOC上での発行・流通開始を目標に準備を急ぎます。取扱事業者や対象チェーンなどの具体条件は、関係当局や事業者との協議を経て順次定める予定です。
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