米証券取引委員会(SEC)が、上場株式をブロックチェーン上のトークンにした「トークン化株式」の取引について、プラットフォームにより軽い規制枠組みを与える「イノベーション免除」を早ければ今週にも提案する見通しとなりました。
24時間取引やT+0決済(取引当日の即時受け渡し)を前提にした米株市場の制度整備が一段進みます。ブルームバーグは5月18日、SECが「早ければ今週」にも、上場証券のデジタル版をより軽い規制枠組みで扱える案を準備していると報じました。
今回の動きは、トークン化した証券そのものを別物として扱う話ではありません。SECは1月、企業金融、投資運用、トレーディング・アンド・マーケッツの各部門による合同声明で、「トークン化証券は依然として証券だ」と明記しており、連邦証券法の適用が変わらないことを確認しています。
そのうえで、売買、清算、決済をブロックチェーン上で一体的に動かす取引プラットフォームに限って、始めやすい枠を設けるのが今回の免除です。
SECがここまで急いでいる理由もはっきりしています。ポール・アトキンスSEC議長は3月の演説で、既存のルールは「取引所、清算、決済を一つのシステムにまとめるブロックチェーン」に合っていないと説明しました。
トークン化株式では、株の売買記録と受け渡しを同じ基盤で処理できるため、決済遅延を縮めやすく、世界中の投資家がアクセスしやすくなる利点があります。世界の株式市場は約126兆ドルに達しており、SECはその一部をオンチェーン(ブロックチェーン上)に移すための制度調整を進めています。
制度面の整備を待つ間に、ウォール街のインフラ企業は実装を先に進めています。SECは3月、ナスダックのトークン化証券取引計画を承認しました。米証券決済大手のDTCCは2026年7月に限定生産で取引を始め、10月に本格展開する計画です。
ニューヨーク証券取引所の親会社ICEは、OKXとの提携と出資を通じて、トークン化株式や暗号資産連動商品の展開を進めています。規制当局の明確化と市場インフラの整備が同時に進んでいる点が、今回のニュースの重みです。
SECが今週中に提案を示せば、次の節目は7月に控えるDTCCの限定生産取引の開始になります。10月の本格展開までに、米国のトークン化株式市場は規制とインフラの両面で具体的な形を取り始めます。
参照:公式
