米財務省外国資産管理室(OFAC)は4月24日、イラン中央銀行(CBI)に結び付くトロンブロックチェーン上の2つのウォレットアドレスをSDNリスト(米国の制裁対象者一覧)に加えました。これを受け、テザーは前日の23日に約3億4400万ドルのUSDTを凍結しました。発行体型ステーブルコインでは、米当局と発行体が連携すればオンチェーン資金を直接止められることが改めて浮き彫りになりました。日本語圏では800億円規模と換算する報道も出ましたが、米側の公式数字は4月分が3億4400万ドル超で、その後に財務省がまとめたイラン政権関連の暗号資産凍結額は累計5億ドル近くとなっています。
OFACが今回追加したのは、TTiDLWE6fZK8okMJv6ijg42yrH6W2pjSr9とTNiq9AXBp9EjUqhDhrwrfvAA8U3GUQZH81の2アドレスです。4月24日付の更新では、イラン革命防衛隊コッズ部隊とヒズボラに結び付いたイラン中央銀行関連ウォレットとして記載しました。スコット・ベッセント財務長官は「OFACはイランに結び付いた複数のウォレットを制裁対象にし、その結果3億4400万ドルの暗号資産が凍結された」と表明しています。
重要なのは、イラン中央銀行そのものは2019年から制裁対象だった一方で、2026年4月の更新で初めて具体的な暗号資産アドレスが明示された点です。対象資金はトロン上のUSDTとして保有され、パブリックブロックチェーン(取引記録が公開される一般公開型チェーン)に送金履歴が残ります。当局はその透明性を手がかりに、銀行口座だけでなくオンチェーンの資金経路まで個別に特定し、発行体であるテザーの協力で移動を止めました。
テザーは4月23日、OFACと米国法執行機関から提供された情報に基づき、2つのアドレスにある3億4400万ドル超、報道ベースで約3億4420万ドルのUSDTをブロックしたと公表しました。パオロ・アルドイーノCEOは「USDTは違法活動の避難先ではない。制裁対象や犯罪ネットワークとの信頼できるつながりが確認されれば、直ちに断固として対応する」と述べたうえで、「ブロックチェーンの透明性、リアルタイム監視、法執行機関との直接連携を組み合わせ、資金が動く前に止める」と説明しました。テザーは65カ国で340超の法執行機関と協力し、累計で44億ドル超、うち米国関連で21億ドル超を凍結してきた実績も挙げています。
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