金融庁は5月19日と22日、2026年改正資金決済法に基づく政令・内閣府令を公布し、外国発行の信託型ステーブルコインを、日本の基準を満たせば電子決済手段として扱えるよう整理しました。新設する「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の細かなルールも固め、2026年6月1日の施行で、2023年に始まった制度の空白も埋まります。国内のステーブルコイン活用は、制度の枠組みから実務の段階へ進みます。
5月19日に公布された内閣府令改正では、日本の電子決済手段制度と同等性が確保された外国法に基づく信託受益権を、電子決済手段として明示しました。あわせて、その受益権を金融商品取引法上の有価証券とみなさない扱いも整えています。2022年改正資金決済法が2023年6月1日に施行された後も、外国発行分、とくに信託型の扱いははっきりせず、実務が動きにくい状態が続いていました。金融庁公式Xアカウントも19日、「本日、『電子決済手段等取引業者に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令』等の公布について公表しました」と投稿し、制度変更を周知しました。
5月22日に公布された政令・内閣府令では、新たな仲介業の登録申請事項や、利用者への明示・説明・情報提供義務、禁止行為、帳簿書類の作成保存、利用者保護措置を細かく定めました。売買や移転の仲介に絞った業態を法的に整え、銀行や事業会社が交換業そのものを営まずに参入しやすくする一方、勧誘や取引時の説明不足を防ぐ狙いがあります。銀行や保険会社などが担える仲介業務の範囲も広がります。
同じ22日の改正では、特定信託受益権(ステーブルコインの裏付け資産となる信託の受益権)の運用対象も見直しました。一定の国債や、中途解約ができる定期預貯金での運用を認める一方、元本毀損を防ぐ条件を課しています。電子決済手段等取引業者や暗号資産交換業者が国内で保有すべき資産の範囲も整理され、資金移動業の資産保全方法も増えました。発行体や仲介事業者の運用の自由度を広げつつ、利用者資産の保全水準は落とさない内容です。
国内ですでに動いている事例では、JPYC株式会社が資金移動業ライセンスのもとで日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行・運用しており、2026年4月時点でシリーズB調達累計は約46億円に達しています。SBI VCトレードは電子決済手段等取引業者として登録し、USDCの取扱いを始めました。今回の制度整備で、こうした先行事例はより明確な法的根拠の下に置かれます。
新ルールは6月1日に施行され、一部は公布日から適用されています。月初以降は、電子決済手段等取引業者、暗号資産交換業者、銀行、保険会社などが新しい説明義務や利用者保護措置に沿って登録と体制整備を進め、日本のステーブルコイン制度は本格運用に入ります。
参照:公式
