分散型金融(DeFi)大手Aaveのスワップ機能を通じて、約5,043万ドル相当の資産がほぼ失われる異例の取引が3月12日に発生しました。
オンチェーン記録によると、ユーザーはAaveのインターフェース経由でCoW Swapルーターを使い、50,432,688.41618 aEthUSDTをaEthAAVEへ交換しようとしたものの、最終的に受け取ったのは327.24 aEthAAVEにとどまりました。
Earlier today, a user attempted to buy AAVE using $50M USDT through the Aave interface.
Given the unusually large size of the single order, the Aave interface, like most trading interfaces, warned the user about extraordinary slippage and required confirmation via a checkbox.…
— Stani.eth (@StaniKulechov) March 12, 2026
Aave創設者のStani Kulechov氏は事態を認め、ユーザーへの接触を試みるとともに、取引で発生した手数料の返還方針を示しています。
Etherscanのトランザクション記録では、この注文は日本時間で3月13日未明にイーサリアム上で正常に実行され、Aave上のaEthUSDTが償還された後、CoW Protocolを経由して処理されていました。
経路上ではUSDTがUniswap V3を通じてWETHに変換され、その後SushiSwapのAAVE流動性にぶつかる形で約331 AAVEが調達され、最終的にAaveのaEthAAVEとして着地しています。
背景にあったのは、スワップ対象と注文規模の深刻なミスマッチです。Aaveの事後分析では、原因は一般に誤解されやすい「スリッページ設定」そのものではなく、流動性の乏しい市場で極端に悪い見積価格を受け入れてしまったことにあると整理しました。
分析によれば、ユーザーが承認した時点で提示レートはすでに市場実勢から大きく乖離しており、約5,000万USDTに対して140 AAVE未満という水準でした。
Kulechov氏は当初、約60万ドルの手数料返還に言及しましたが、その後の事後分析では返還対象の手数料を約11万368ドルと説明しています。
あわせてAaveは、価格影響が25%を超える取引をデフォルトで遮断する「Aave Shield」をスワップ画面に導入すると表明しました。許可不要性を保ちながらも、極端な注文をそのまま通さない安全策へ踏み込む格好です。
事件後も市場はプロトコル障害というより、DeFiにおける大口執行リスクとユーザー保護設計の甘さを改めて織り込みにいく展開となっています。
