米ナスダックを運営するNasdaqは3月9日、暗号資産取引所クラーケンの親会社であるPaywardと提携し、トークン化株式を従来の資本市場と分散型ブロックチェーンネットワークの間で移動可能にする新たなインフラの開発に乗り出すと発表しました。
両社は「equities transformation gateway」と呼ばれる仕組みを構築し、規制市場とDeFi(分散型金融)の接続を目指します。運用開始は2027年上半期を予定しています。
この取り組みは、株式をブロックチェーン上のトークンとして扱う「株式トークン化」を制度金融の枠組みに取り込む試みとして注目されています。
発行企業を中心に据えたトークン化設計
ナスダックが今回提示したのは、発行企業を中心とした「equity token design」と呼ばれる設計です。従来のトークン化株式では、ブロックチェーン上の記録と企業の公式株主名簿が分離して管理されるケースがありました。新しいモデルでは、この両者を直接統合します。
ブロックチェーン上でトークンが移転すると、その記録が発行企業の株主名簿に反映され、法的にも株式の移転として扱われる仕組みです。
発行企業の権利管理や規制遵守、価格の整合性、投資家保護を維持しながら、ブロックチェーンの流動性や即時決済といった利点を取り込む狙いがあります。
Krakenのインフラ「xStocks」がDeFi接続を担う
提携では、クラーケンのインフラ技術も重要な役割を担います。Paywardは、クラーケンが開発した「xStocks」フレームワークを通じて、トークン化株式をパーミッションレス型ブロックチェーンへ接続するインフラ層を提供します。
同フレームワークは、規制市場の資産をブロックチェーン上で扱うための仕組みとして設計されています。PaywardはKYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)などのコンプライアンス機能と初期決済レイヤーを担い、規制環境の下で株式とDeFiネットワークの相互運用を実現する計画です。
xStocksは取引量25億ドル超
クラーケン側のトークン化株式関連プロジェクト「xStocks」は、開始から1年未満で累計取引量が25億ドルを超えました。このうち4億ドル以上がオンチェーンで決済されています。
こうした実績が、今回のナスダックとの提携につながったとみられます。伝統的な証券インフラを担う取引所と暗号資産業界の技術基盤が結びつくことで、トークン化株式の実用化が一段と進む可能性があります。
計画では、ナスダックのトークン化株式プログラムおよび関連する分散型台帳(DLT)サービスは2027年上半期に運用を開始する予定です。伝統金融とブロックチェーンの融合がどこまで進むのか、市場関係者の関心が集まっています。
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