OKXは4月29日、AIエージェントが単発の送金にとどまらず、見積もり、交渉、エスクロー、従量課金、決済、紛争対応まで含む商取引の流れを自律的に処理できるオープン規格「Agent Payments Protocol(APP)」v1.0を発表しました。Onchain OSの新機能として組み込み、AWSやアリババクラウド、イーサリアム財団、ソラナ、ユニスワップなど約30の企業・プロジェクトがDay 1で参画したことで、AIエージェント向け決済を商業インフラとして扱う動きが一段と進みました。
発表はUTC14時ごろ、日本時間では同日23時ごろに行われました。開発者や企業は、AIエージェントに継続課金や上限付き支払いを組み込みやすくなります。OKX公式も「エージェントは単純な支払いを超え、本格的な商取引に進めるようになった。APPはオープンスタンダードであり、ソラナ、イーサリアム、そのほかのチェーンでも互換実装が可能だ。Day 1からイーサリアム財団、ユニスワップ、ソラナを含む有力開発チームを迎える」と説明しています。
Day 1の参画企業には、クラウドのAWSとアリババクラウド、L1・L2(基盤チェーンと拡張網)のイーサリアム財団、ソラナ、ベース、スイ、オプティミズム、アプトス、DeFi(分散型金融)と決済のユニスワップ、パクソス、ムーンペイ、ウォレットとデータのゼリオン、ナンセン、クイックノード、AIのサハラAI、カイトAI、0Gラボなどが並びます。スター・シューCEOも同日、「オンチェーンインフラとAIで積み上げた経験の上に、クラウド、L1、DeFi、AIの優れたパートナー群とともに築いた。これがエージェント経済を現実にする方法だ」と投稿し、インフラからアプリまでをまたぐ連携を強調しました。
4種類の支払い型で取引関係を管理
APPが扱うのは、送金そのものよりも商取引の関係です。ホワイトペーパー v1.0では、HTTP 402やx402ベースのWeb課金方式、つまりAPIごとに料金を取る単発課金に寄りやすい仕組みに対し、APPはBroker(条件や利用量の状態を管理する中継層)を介して取引の経過を持ち続ける設計を採ります。OKXの作業部会は「実際の商取引は単一のtransferFromではない。エージェントは異なる形で複数の相手に支払う仕事を担う」と記し、AIエージェントが見積もり後の継続課金や条件付き支払いまで扱う必要があると書いています。
APPには4種類のインテント(支払いの型)があります。Chargeは即時の相対決済、Sessionは利用量に応じたストリーミング課金、Uptoは上限付きの引き落とし、Escrowは条件付き預託で、後続アップデートで紛争窓口を備えた形に広げる計画です。支払いSDK(開発キット)を使えば、単発決済、バッチ決済、従量課金を数行のコードで組み込めます。
3月の取引キットとウォレットに接続
APPは、3月から順に投入してきたOnchain OSの各機能とつながります。3月10日にリリースしたAgent Trade Kitは80超のツールを備えるオープンソースのMCP toolkit(AIモデルと外部ツールをつなぐ開発キット)で、AIエージェントがOKXの現物、無期限先物、アルゴ注文を自然言語で出せるようにしました。3月18日に投入したAgentic Walletは20超のチェーンに対応し、TEE(信頼実行環境)で保護された自己管理型ウォレットとして、自律署名を担います。
決済の実行基盤にはX Layerを使い、20.0ミリ秒ファイナリティ(取引確定)、ガス代無料、1セント未満のコスト水準を掲げました。OKXは、10 USDC(米ドル連動ステーブルコイン)をあらかじめ入れておけば、AIエージェントが数百回のAPI呼び出しを自律的に処理できる例を示しています。APP自体は特定チェーン専用ではなく、任意のチームが互換Brokerを実装できるオープン仕様で、ホワイトペーパーではベンダーロックイン(特定事業者への囲い込み)を避け、署名を検証の軸に置き、各役割を入れ替え可能にする設計原則も掲げました。
AIエージェントの役割が質問応答から自律ワークフローへ広がるにつれ、課題は推論性能だけでなく、条件付き支払いと継続的な関係管理に移っていました。OKXは3月のOnchain OS群にAPPを加え、取引、保管、決済を連続して扱える開発基盤をそろえています。ホワイトペーパー v1.0と支払いSDKは配布済みで、今後は各チェーンや参画企業による互換実装が進み、後続アップデートでEscrowと紛争処理が加わります。
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