米上院で調整が続くクラリティー法案は、トランプ大統領の財務開示をめぐり、暗号資産関連収益が10億ドル規模に上ると報じられたことで、民主党が公職者とその家族の利益相反を防ぐ倫理条項の明記を求める局面に入っています。7月下旬にも採決を目指す動きが伝えられるなか、市場構造を整える法案そのものへの賛否に加え、誰にどこまで厳しい歯止めをかけるかが上院通過の条件として浮上しています。

クラリティー法案は、暗号資産の監督を証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)のどちらが担うのかを整理し、ステーブルコインや分散型金融(DeFi)の扱いまで含めて米国のルールを明確にする市場構造法案です。下院と委員会段階をすでに通過しており、上院ではフィリバスターを越える60票に届かせるため、およそ7人の民主党議員の賛成が必要な局面に入っています。
今回の焦点は、倫理規定を法案本文に明記するかどうかです。民主党側は、公職者や家族が在任中に暗号資産事業で利益を得ることを防ぐ歯止めがなければ、制度整備が利益誘導の疑念を抱えたまま進むとみています。これに対し、共和党側とホワイトハウスは、文言次第では特定人物を念頭に置いた条項と受け止められかねない点を警戒しており、超党派協議は難航しています。全ての政党に同じ基準を適用する強い倫理規定であれば受け入れ余地があるとの見方も残っています。
交渉が長引けば、米国の暗号資産ルール整備は欧州連合(EU)のMiCAや英国の枠組みに後れを取りやすくなります。可決に至れば、機関投資家や事業者が米国市場での参入判断をしやすくなるとの期待がありますが、倫理条項で折り合えなければ、制度面の不透明感は2026年の中間選挙シーズンまで持ち越される可能性があります。
次の焦点は、7月上旬に最終文言の輪郭がどこまで固まるかと、7月20日から30日にかけて本会議の審議・採決に進めるかです。これらの日程は現時点では協議関係者や市場関係者の見通しとして伝えられており、最終的な上院日程は合意内容に左右されます。妥協案として、特定人物を名指ししない中立的な倫理条項で橋渡しできるかが鍵になります。ここで合意できなければ、クラリティー法案の本格決着が2027年までずれ込むシナリオも市場で意識されます。
