米証券決済インフラ大手DTCCは2026年7月15日、傘下DTCが保管する資産をトークン化した版を使い、担保の差し入れや米国債・レポ取引、株式決済などの本番取引を処理しました。10月に予定するトークン化サービスの開始に向けて、金融市場の中核インフラで実運用できるかを確かめる重要な一歩です。

処理対象には、担保の差し入れ、証券貸借、米国債・レポのDVP(資産と資金を同時に受け渡す決済)、株式のDVP、株式のDvD(資産同士を同時に受け渡す決済)、株式トークンの移転、CCP(中央清算機関)のマージン処理が含まれました。いずれもDTCの本番環境で実行され、実際の市場業務に近い形で数時間かけて検証されました。
取引では、DTCCのプライベートネットワークであるハイパーレジャー・ベスと、パブリックネットワークのカントンが使われました。2つのネットワークを併用した狙いは、処理の堅牢性、拡張性、参加者の選択肢を確保することにあります。DTCが保管する証券は、通常の証券とトークン化された表現の間で相互に変換でき、参加者が選んだウォレットへ届けられます。
参加企業は伝統的金融機関とデジタル資産企業にまたがります。ブラックロック、ゴールドマン・サックス、J.P.モルガン、ナスダック、ニューヨーク証券取引所、CMEグループ、バンガード、サークル、オンド・ファイナンスなどが参加しました。DTCCの業界ワーキンググループには100社超が加わっており、今回の本番取引には30社超が関わりました。
今回の取り組みでは、伝統的な市場インフラと同水準の堅牢性や運用上の厳格さをトークン化サービスに適用できるかが検証されました。クリアリング・証券サービス部門のブライアン・スティール氏は、リアルタイムの担保移動や流動性・資本効率の向上、カウンターパーティーリスクの低減、伝統的な市場基盤とデジタル資産基盤の相互運用につながる可能性を示しています。
DTCは2025年12月、米証券取引委員会(SEC)からノーアクションレターを取得しました。これは、DTCが保管する実世界資産についてトークン化サービスを運営する際、一定の条件下でSECスタッフが執行措置を勧告しない方針を示す文書です。DTCCデジタル資産部門責任者のナディーン・チャカー氏は、既存の金融システムとWeb3の両エコシステムは混乱なく共存できるとの見方を示しています。
次の節目は2026年10月に予定されるトークン化サービスの開始です。DTCCは今回確認した担保移動、レポ、株式決済、マージン処理の実運用手順を土台に、DTC参加者向けの提供準備を進めます。
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