野村ホールディングス傘下のデジタル資産企業レーザーデジタルは5月29日、米通貨監督庁(OCC)から、米国で国法信託銀行を設立するための条件付き承認を取得しました。機関投資家向けに、デジタル資産、トークン化資産、伝統的な金融資産を連邦規制下で管理する体制づくりを進めます。正式な営業開始には、最低資本要件などOCCが定める開業前条件を満たす必要があります。
新設を目指すのは「レーザーデジタル・ナショナル・トラストバンク」です。国法信託銀行は米連邦当局の監督を受ける信託機関で、同社は預金の受け入れや融資は行わず、資産の保管・管理を中心にサービスを展開する計画です。対象は個人投資家ではなく、暗号資産やトークン化商品を扱う機関投資家となります。

同行の事業には、法定通貨、ステーブルコイン、デジタル資産をまたぐ決済支援のほか、暗号資産と伝統資産を組み合わせた担保管理、マルチアセット・カストディ(複数種類の資産を一体で保管・管理する業務)が含まれます。米国で正式認可を得れば、顧客は連邦監督下の枠組みを通じて、トークン化資産やデジタル資産を保有・管理できるようになります。
レーザーデジタルは2022年、野村グループのデジタル資産部門として設立されました。スイスのチューリッヒを拠点に、機関投資家向けの暗号資産取引や運用商品を提供しています。運用資産は2億5,000万ドル超で、2026年1月には機関投資家向けにトークン化ビットコイン収益型ファンド「ビットコイン・ダイバーシファイド・イールド・ファンドSP」を立ち上げました。
同社は中東でも規制対応を進めています。2023年8月にドバイの仮想資産規制庁(VARA)からライセンスを取得し、2024年6月にはアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の金融サービス規制庁から、伝統資産とデジタル資産の両方に関するサービス提供許可を受けました。日本では2023年10月にレーザーデジタル・ジャパンを設立しており、2026年中に暗号資産交換業の登録申請を行う計画も明らかになっています。
米国では、ステーブルコインやトークン化資産を扱う企業の間で、国法信託銀行の認可取得を目指す動きが広がっています。S&Pグローバルの集計では、2025年初から少なくとも15社のデジタル資産関連企業がOCCの銀行免許を申請しました。OCCは2025年12月、リップル、サークル、ビットゴー、パクソス、フィデリティ・デジタル・アセットなどによる信託銀行設立を条件付きで承認しています。
レーザーデジタル・ナショナル・トラストバンクは今後、OCCが求める最低資本、ガバナンス、コンプライアンスなどの開業前条件を満たしたうえで、正式な免許取得と営業開始を目指します。条件付き承認から正式認可までの期間は案件ごとに異なりますが、同社にとって次の節目はOCCによる最終承認となります。