金融庁と国土交通省、警察庁、財務省は4月28日、暗号資産を使う不動産取引が犯罪に悪用されるのを防ぐため、不動産関連6団体と一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の計7団体に連名で要請文を送りました。本人確認や取引目的の確認、無登録交換業の排除、疑わしい取引の届出の徹底を求めた内容で、高額な不動産と国境をまたいで即時に移転できる暗号資産の組み合わせは、マネーロンダリングに使われやすいとみています。
金融庁が28日に公表した文書の名義は、国土交通省不動産・建設経済局不動産業課、金融庁総合政策局リスク分析総括課、警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課、財務省国際局調査課の4課です。宛先には公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、公益社団法人全日本不動産協会、一般社団法人不動産協会、一般社団法人不動産流通経営協会、一般社団法人全国住宅産業協会、公益財団法人不動産流通推進センター、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会が並び、宅地建物取引業者と暗号資産交換業者の双方に会員への周知を呼びかけました。
要請文は、不動産が財産的価値の高い資産で、多額の現金と交換しやすいことから、以前からマネロンや犯罪収益の隠匿に悪用されやすいと記しました。近年は資産保全や投資目的の購入が増え、国内外の犯罪組織が収益の流れを変える手段として不動産を使う危険性が高まっているとし、暗号資産については国境を超えて即時に移転できるため、不動産決済に組み合わせた場合の悪用リスクが高いと明記しています。片山さつき金融相も同日の記者会見で『様々な決済手段が使われる不動産取引はマネロンに悪用される危険性があり、法律違反にもなる恐れもある』と話し、関係省庁と連携して適切に対応していく考えを述べました。
宅地建物取引業者に対しては、買主から暗号資産を受け取り、その見返りに売主へ法定通貨を支払うような取引が、資金決済法上の暗号資産交換業に当たるおそれがあると注意喚起しました。無登録でこうした行為を行えば同法違反に当たり得るため、登録のない事業者を利用しないことに加え、無登録営業が疑われる事案を把握した際は警察への情報提供も求めています。
不動産会社と暗号資産交換業者の双方には、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認を厳格に行うよう要請しました。不動産取引で暗号資産を受け渡す案件では、所管行政庁への疑わしい取引の届出に加え、事件性が疑われる場合の警察通報も求めました。交換業者には、顧客が不動産売買代金を暗号資産で受け取り、その顧客属性に見合わない高額取引がみられる場合などに確認を強めるよう促しました。
外国為替及び外国貿易法では、海外から3,000万円相当を超える暗号資産等を受け取った場合、『支払又は支払の受領に関する報告書』の提出義務があることも改めて周知しました。非居住者が国内不動産等を取得した際の報告義務は2026年4月1日から取得目的を問わず対象に広がっており、暗号資産を絡めた売買でもこの報告対象に当たるかの確認が欠かせません。
暗号資産を使う不動産取引への関心が高まる中で、今回の文書は資金決済法、犯罪収益移転防止法、外為法に基づく対応を業界横断で再確認したものです。4省庁は7団体を通じた会員周知と実態把握を要請しており、直近は暗号資産を使う売買案件ごとに、交換業の登録確認、取引時確認、3,000万円超の海外受領報告の要否を点検する作業が各社で進みます。
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