みずほ証券は、米国で審議が進む暗号資産規制法案「クラリティー法」が成立すると、サークルのUSDC事業は新規参入組との競争が激しくなり、優位性が薄れるとして投資評価を引き下げました。規制整備は暗号資産市場全体には追い風ですが、先行するステーブルコイン発行体ほど差別化が難しくなります。

サークルのUSDCは1米ドルに価値を連動させるステーブルコインで、取引、決済、DeFi(分散型金融)で広く使われています。規制が明確になるほど、銀行や大手企業は参入を判断しやすくなり、USDCが築いてきた信頼や流通網だけでは競争優位を保ちにくくなります。
クラリティー法には、暗号資産を証券か商品かに区分し、取引所登録や顧客資産保護の枠組みを整える内容が含まれます。どの規制当局の下で事業を進めるのかが見えやすくなり、金融機関や大手企業の参入を後押しします。その結果、米ドル連動型ステーブルコイン市場では、発行体の信用力や利用できる取引所、決済網の広さが重要になります。
法案に含まれる利回り付きステーブルコインへの制限案も、USDC事業の長期収益を左右する材料です。利回り付きステーブルコインは、保有者に金利や報酬を渡す設計のトークンです。制限が強まれば、発行体は金利面で利用者を取り込みにくくなり、競争軸は発行体の信用力、利用できる取引所や決済網、企業連携の広さへ移ります。
サークルには、USDCの流通実績とネットワーク効果が残ります。すでに多くの取引所、ウォレット、DeFiサービスで使われている点は、後発企業との差になり得ます。ただ、規制が整った後に銀行系や企業連合系のステーブルコインが本格化すれば、USDCは「規制対応済みの数少ない選択肢」から「複数ある米ドル連動型商品の一つ」へ近づきます。米上院では2026年7月時点で、クラリティー法の最終調整と倫理規定の合意形成が進んでいます。今後は法案の審議状況に加え、利回り制限の扱いと大手金融機関の発行計画が、サークルの評価を左右します。
