東京ヴェルディは4月15日、SBI Chilizと日本国内でのファントークン導入に向けた基本合意書(MOU)を締結したと発表しました。SBI ChilizにとってJリーグクラブとの提携は初めてで、海外で広がってきたファン投票やデジタル特典向けトークンを、日本の法令に沿ってJリーグへ持ち込めるかを探る最初の案件になります。
今回の合意で両社が検討するのは、ファントークン(投票や特典に使うデジタル会員証のようなトークン)を活用したファン投票、デジタル特典、参加報酬です。サポーターがそれらを体験できるイベントや学習コンテンツを共同で企画し、日本の法律を守って運営するための技術面やコンプライアンスの枠組みも詰めていきます。
SBI Chilizの杉山拓也取締役は、チリーズについて「多くの世界トップクラブがファン・サポーターとの新しい関係性を築くために活用している」としたうえで、「その日本第一弾として東京ヴェルディとのパートナーシップ構築を発表できることを嬉しく思います。Chilizの持つグローバルでのノウハウ、そしてSBIグループのWeb3領域の知見を活かして日本のスポーツ市場をより活性化させていきます」とコメントしました。
チリーズ・グループは、ファンエンゲージメント基盤のソシオス・ドットコムを通じて世界で70以上のファントークンを展開してきました。対象にはFCバルセロナ、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティ、アーセナル、ACミラン、インテルなどが含まれ、ソシオス・ドットコムのユーザー数は200万人を超えます。海外ではすでに大手クラブがファン投票や限定特典、参加型施策に使ってきた仕組みを、日本ではSBIとの合弁を通じてローカライズする流れです。
チリーズ・グループのアレクサンドル・ドレフュスCEOは、日本市場について「イノベーションとファン文化の分野において、日本は世界でも最も重要な市場の一つです」と述べました。そのうえで「教育、明確なユースケース、そしてコンプライアンスへの強い意識を基盤として、ファンが中心となるWeb3体験のための責任ある枠組みを築く上で、SBI Chilizを通じて東京ヴェルディのようなクラブとの連携は意義深い一歩となります」と語り、日本向け展開で重視する点として教育と法令対応を挙げています。
東京ヴェルディ側は、ファントークンを新しい収益源として先に語るのではなく、ファン体験の検証を前面に出しました。中村考昭社長は「Jリーグの新シーズンが正式に開幕したことを受け、SBI Chilizと提携し、デジタルファンエンゲージメントの未来を模索できることを大変嬉しく思います」としたうえで、「Web3技術とファントークンが、いかにしてより豊かでインタラクティブな体験を生み出すことができるかを検証していく予定です」とコメントしています。
国内のスポーツ分野では、ブロックチェーン活用の話題が先行しても、実運用の段階で制度対応が壁になりやすかった経緯があります。今回のMOUは、いきなり発行へ進むのではなく、学習コンテンツと体験企画を並行させながら、運用、技術、法令対応を先に固める進め方を採っています。Jリーグクラブで最初にこの手順へ入ったのが東京ヴェルディという点も、市場では重みがあります。
両社は今後、ファン投票やデジタル特典、参加報酬を試す企画と学習コンテンツの設計を進め、日本での導入に必要な運用・技術・コンプライアンスの枠組みを詰めていきます。2024年に立ち上がったSBI Chilizは、東京ヴェルディ案件を起点に、日本市場でのファントークン展開を実証段階へ進めることになります。
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