米銀行業界団体がCLARITY法案のステーブルコイン利回り条項に反対を強め、暗号資産業界との対立が法案修正の争点になっています。銀行側は預金流出への懸念を前面に出し、暗号資産業界は競争阻害だと反発しており、法案の行方は業界間の正面衝突の様相を帯びています。

アメリカ銀行協会(ABA)や米独立コミュニティ銀行協会(ICBA)、バンク・ポリシー・インスティテュート、コンシューマー・バンカーズ・アソシエーションは、2026年5月に上院銀行委員会がCLARITY法案を15対9で可決した後、共同声明で利回り条項の修正を求めました。ABAは銀行CEOに反対行動を呼びかけ、モーニング・コンサルトの調査結果を使った対外キャンペーンも進めています。
ICBAは、ステーブルコインに利回りが付けば地域銀行から約8500億ドルの預金流出リスクが生じると訴えています。流出した資金は地域融資や中小企業向け融資、農業融資の原資を細らせるというのが銀行側の主張です。ICBAはコミュニティ銀行向けの広告展開に加え、クオーラム(採決に必要な出席人数)を確保するための草の根ロビー活動も始めており、地域金融への打撃を前面に出しています。
上院銀行委員会の審議後には、利用実績に連動する報酬なら認める方向の妥協案も取り沙汰されましたが、銀行側は抜け道を残す内容だとして反発を続けています。ABAの公式X投稿では、こうした規定を「loophole(抜け穴)」として閉じる必要があると訴え、法案が本会議で審議・採決に進む前に修正を求める姿勢を鮮明にしました。
暗号資産業界は、銀行側の動きを既得権益の防衛と受け止めています。ブロックチェーン協会は銀行団体の広告キャンペーンに正面から反論し、政策専門家のジェイク・チャービンスキー氏は銀行が法案を「hijack(乗っ取り)」しようとしていると批判しました。ホワイトハウスの暗号資産アドバイザーも、法案改変の試みを「shameful(恥ずべき行為)」と表現し、銀行側への不快感を示しています。
争点は、ステーブルコインの利回りを利用者への新しい金融サービスとみるか、預金を侵食する不公正な競争とみるかに絞られてきました。銀行団体は預金基盤の維持を訴え、暗号資産業界は消費者の選択肢を広げる競争だと反論しています。次の焦点は、上院での修正協議で利用実績に連動する報酬の扱いがどう整理されるかに移ります。

