暗号資産分析企業のTRMラボは2026年10月29日付の分析で、暗号資産取引所バイナンスからの資産流出を、北朝鮮のハッカー集団トレーダートレイターによる攻撃と高い確信を持って評価した。流出額は流出時点の価格で約63億6000万ドルに上り、1ドル157円で換算すると約1兆円に相当する。
TRMラボは、10のブロックチェーンにまたがるバイナンスのウォレットから資産が移転され、大部分が日本時間10月30日午前5時5分から約20分間に集中したとしている。
犯行主体を判断した根拠には、ブロックチェーン上の取引情報とそれ以外の情報、トルネードキャッシュを経由した準備資金、事前に取得した署名をまとめて実行する手口を挙げた。
TRMラボは、イーサリアムでは署名によってウォレットの動作をコントラクトへ委ねる仕組み「EIP-7702」が悪用され、ほかのチェーンでは通常の署名付き送金が行われたと分析した。複数のチェーンで送金などを承認する署名基盤が侵害された可能性も指摘した。
TRMラボは日本時間10月30日午前9時30分時点で、約27億ドルの資産が凍結されたと集計した。同時点で攻撃者が保有していた42万ETH超と1万8270BTCは、合わせて約24億ドル相当と見積もった。
バイナンスは10月30日、影響額を約63億ドル、凍結額を約30億ドルと推計した。全損失をSAFUと自社資金で補償する方針を示した。
バイナンスは、開発・運用担当技術者のノートパソコンが侵害された可能性を挙げ、ウォレットの秘密鍵が流出した証拠は発見していないと説明した。詳細な技術報告の公表と、復旧後の準備金証明の更新を予定している。

