韓国の暗号資産課税は、現行法上2027年1月1日から始まる予定で、年250万ウォンの控除と国税20%が投資家の損益管理を大きく左右します。2026年7月30日時点で廃止や再延期は決まっておらず、制度開始前の政治論争と実務準備が同時に進んでいます。
税額は、譲渡や貸付で得た対価から取得価額と付随費用を差し引き、年内の利益と損失を通算したうえで、250万ウォンの基本控除を引いた残額に課税されます。たとえば必要経費を差し引いた年間利益が500万ウォンなら、課税標準は250万ウォン、国税は50万ウォンです。地方所得税を含めた実効負担は22%と整理されており、合計55万ウォンになります。韓国国税庁の公式案内が示す国税20%を前提にすると、暗号資産の年間損益を別枠で計算する仕組みになるため、取引件数が多いほど記録の精度が重要になります。
課税対象は売却益だけではありません。暗号資産同士の交換も所得計算に含まれ、どの資産をいつ何と交換したか、手数料をいくら払ったかまで追える状態が必要です。取得価額は移動平均法または先入先出法で算定し、2027年より前から保有している資産は、実際の取得価額と2026年12月31日時点の時価の高い方を使います。取得価額が確認しにくい場合は、一定割合(最大50%)を必要経費としてみなす扱いが示されており、適用条件や追加ルールは最新の案内で確認が必要です。
申告は翌年5月1日から31日までです。2027年分が課税の初年度になれば、最初の申告は2028年5月になります。年内の損益通算は制度の前提ですが、将来年度への損失繰越は別の論点です。国内株式との公平性も含め、暗号資産だけ損失繰越が認められない点が制度上の争点になっています。
制度開始前に残る論点も少なくありません。ステーキングやエアドロップをどの時点でどう評価するか、海外取引所、分散型取引所、自己管理ウォレットの取引をどう把握するかは、実務上の焦点です。年内に追加ガイドラインが出るかどうかで、利用者が準備すべき記録の粒度も変わります。記録が粗いままだと、交換取引やウォレット間の移動まで含めた損益計算が難しくなり、申告時点で確認作業が膨らみやすくなります。
政治面では、課税廃止を求める請願が5万人に達し、委員会審査に進みました。ただし、これは廃止決定ではありません。財政当局が2027年1月から予定どおり実施する姿勢を示しても、それは現行法の確認にとどまり、制度を止める決定にはなっていません。今後の焦点は、国会が廃止や再延期に向けた法改正を進めるか、それとも現行法のまま細部を詰めるかです。
韓国の暗号資産課税は、2027年1月1日開始予定という骨格は見えている一方で、実際の税負担、損失の扱い、海外取引やステーキングの評価方法ではなお詰め切れていない論点が残っています。個別の申告判断や記録方法は、今後の公式案内を確認しながら慎重に見極める必要があります。本稿は一般的な制度解説であり、個別の税務判断は専門家への確認が必要です。
