ロシアは2026年9月1日、暗号資産の流通を監督下に置く新法の主要条項を施行し、投資家取引と貿易向け越境決済を認める一方、国内の商品・サービス代金への利用を禁じ続ける点が市場参加者にとって重要となる。今回の制度変更は、監督を受ける取引ルールと仲介業者の枠組みを定める法整備となる。

国家院は2026年7月21日に法案を第2・第3読会で可決し、ウラジーミル・プーチン大統領が8月4日に署名した。法律は暗号資産の流通ルールを定め、ロシア中央銀行が監督を担う。既存の金融機関に加え、暗号資産交換業者、ブローカー、管理会社、デジタル保管機関も規制対象に入る。
個人投資家の取引は、投資家区分とテストを前提に管理される。非適格投資家はテスト合格後、仲介業者1社あたり年間30万ルーブルを上限に、流動性の高い暗号資産を購入できる。適格投資家もテストを受ける必要があるが、ロシア中央銀行の説明では、購入・売却できる暗号資産の種類と金額に上限はない。外国発行のステーブルコインにも、暗号資産と同じ要件が適用される。
取引インフラでは、暗号資産の売買に加え、ロシア法に基づく証券やデジタル権利との交換も想定されている。デジタル権利は、ブロックチェーン上などで発行・管理される権利を指す。新法はこの分野の規制も広げ、ロシアのデジタル権利を既存の情報システム運営者だけでなく、公開ネットワーク上でも発行できるようにする。
国内支払い禁止の維持は、今回の制度が越えない線を示している。ロシア国内で商品やサービスの代金を暗号資産で支払うことは認められない。輸出業者と輸入業者は、居住者・非居住者間の越境決済で暗号資産を制限なく使える。この取引は仲介業者を通す場合だけでなく、あらゆる種類のウォレットと暗号資産を使った直接取引も対象になる。
ロシア居住者が国外で暗号資産取引を行う場合は、外国銀行口座を使う必要がある。ロシア国内で購入した暗号資産を国外へ移す場合は、規制対象の仲介業者を通す。国外で記録される暗号資産の保有分は、税務当局への報告対象になる。
市場参加者には2027年7月1日までの移行期間が設けられる。この期間中にライセンス取得と新要件への対応を進める必要がある。専門家の見方では、ロシア中央銀行の関連規則は2026年11月までに整い、法令に沿った最初の取引は早くても年末になる見込みとされている。9月1日は法の発効日であり、規制取引所が全面稼働する日ではない。
スベルバンク副会長のアナトリー・ポポフ氏は、規制下の暗号資産取引所について、初年度の出来高を3.5兆〜4兆ルーブル、米ドル換算で約464億ドルと見積もっている。同行はロシア中央銀行の承認を前提に、ビットコイン、イーサリアム、USDTを担保にした融資の検討も進めている。制度の次の節目は、2026年11月までに見込まれる下位規則の整備と、2027年7月1日までの市場参加者のライセンス対応となる。
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