Strategyは米国時間2026年7月23日(日本時間24日)、同社の普通株MSTRに対応するビットコイン価値を、負債や優先株を考慮して確認するための新指標を公表しました。Net Reserve、Net BTC、Net Bitcoin Per Share(Net BPS)を導入し、mNAVやAmplificationの計算方法も更新しています。

背景にあるのは、Strategyが「Digital Credit(デジタルクレジット)」と呼ぶ債務・優先株の拡大です。普通株より優先して支払いを受ける金融商品が増えたことで、総保有BTCだけでは普通株主の持分を捉えにくくなりました。今回の指標は、こうした上位請求権を差し引いた純額を見せることを目的としています。
Net Reserveは、保有BTCの時価であるBTC Reserveから、アウト・オブ・ザ・マネーの転換社債などの債務性商品と、対象となる永久優先株の想定元本を差し引き、USD Reserveを加えた金額です。永久優先株では、イン・ザ・マネーのSTRKを除外します。
Net BTCは、この純額を測定時点のCoinbase上のBTC価格でビットコイン換算したものです。Net BPSはNet BTCを完全希薄化後株式数で割り、1株あたりの値をSatoshiまたは米ドルで示します。完全希薄化後株式数には普通株のほか、ストックオプション、RSU・PSU、イン・ザ・マネーの転換社債とSTRKの転換分などが含まれます。
mNAVの定義も大きく変わりました。従来は「企業価値÷BTC Reserve」でしたが、現在は「MSTR株価÷Net BPSの米ドル換算額」です。Strategyは、2026年7月23日より前のmNAVと更新後のmNAVには互換性がないと明記しており、過去の数値との単純比較はできません。
新mNAVが1.0倍の場合、MSTR株価とNet BPSの米ドル換算額が等しいことを意味します。1.0倍は、普通株の発行価格がNet BPSを上回るか下回るかを見る増価・希薄化の判断基準です。mNAVの計算式に固定値を組み込むものではなく、株価の下限を保証する指標でもありません。
Amplificationは現在も公式名称として使われています。現在の計算は「BTC Reserve÷Net Reserve」で、総BTC準備の価値が上位請求権控除後の純額の何倍に当たるかを示します。従来と計算方法が異なるため、こちらも2026年7月23日より前の値とは比較できません。
新たに加わった正式名称は、BTC Hurdle ARRとBTC Floor ARRです。BTC Hurdle ARRはStrategyの実効的な信用コストを示し、BTCの想定年率がこれを上回るとMSTRが正のスプレッドを確保できるとする指標です。BTC Floor ARRは、利息と優先配当を支払いながら、負債・優先株に対するBTC Reserveの1.0倍のカバレッジを維持するために必要な最低の一定BTC想定年率を示します。
ただし、これらはStrategy独自の補助指標で、米国会計基準に基づく純資産価値や実際の清算価値ではありません。Net Reserveは優先株の想定元本を使用しており、実際の清算優先額や償還額と一致しない場合があります。未払い配当も計算に含まれないため、「普通株主が実際に受け取れるBTC価値」と断定せず、資本構造を比較するための分析尺度として見る必要があります。
参照:Strategy
