金融庁がFATFの暗号資産関連報告書を国内向けに周知し、法律があっても約6割の項目で運用・執行が追いついていない現実が、暗号資産の監督で何より重要な論点になっています。
FATFは2026年3月、ステーブルコインとアンホステッドウォレットを中心に、各国の規制や監督がどこまで機能しているかを検証する報告書を公表しました。法制度が整っていても、実際の監督や執行が伴わない分野が多く、制度と現場の差が改めて示されました。
暗号資産分野では、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策の枠組みがあっても、事業者の確認体制、当局による監督、違反時の執行が回らなければ、国際基準に沿った対応とは見なされにくくなります。今回の報告書は、法律の有無だけでなく、制度を実務として機能させているかどうかを問う内容です。
ステーブルコインは法定通貨などに価値を連動させる暗号資産で、アンホステッドウォレットは利用者が自分で秘密鍵を管理するウォレットです。どちらも利便性が高い一方で、資金移動や保管の実態が見えにくく、管理の難しさが残ります。
国内の暗号資産業界でも関連論点の共有は進んでいます。日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)も議論に触れており、事業者側には国際基準の更新を前提に、本人確認や取引管理、リスク把握の運用を見直す動きが求められます。
金融庁の周知は、直ちに新たな義務を課すものではありませんが、日本の監督実務にどう反映するかを見極める入口になります。次の焦点は、FATFが示した課題を踏まえて、監督指針や事業者の実務確認にどこまで落とし込まれるかです。
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