イーサリアムの新提案EIP-8141は、利用者がETHを先に用意する手間を減らすため、スポンサーがガス代を支払い、利用者が別トークンで精算する取引方式として、2027年目標の大型アップグレード「ヘゴタ」候補に入った。ガス代そのものをステーブルコインなどのERC-20建てへ置き換える変更ではない。ETH残高を持つ支払者がネットワーク費用を負担し、利用者が別のトークンでその支払者へ精算する仕組みとなる。

EIP-8141の正式名称は「フレーム・トランザクション」。2026年1月29日に作成されたスタンダード・トラックのコア提案で、2026年9月8日時点では草案段階にある。新しいEIP-2718取引タイプ「0x06」を導入し、1つの取引を検証、ガス支払い承認、通常操作などの複数フレームに分けて処理する。
この仕組みでは、取引を送る利用者と、手数料を支払うアカウントを分けられる。新命令「APPROVE」は実行承認と支払い承認を別々に扱い、レシートには実際に費用を払った支払者が記録される。EIP本文のERC-20支払い例では、利用者がERC-20をスポンサーへ送り、スポンサーがガス代の支払者になる。スポンサー側には、プロトコル上の最大費用を負担できる残高が必要となる。
アプリやペイマスターが費用を肩代わりすれば、利用者はUSDCなどのトークンで後から精算できる。すでにERC-4337のペイマスターでもETHを持たない操作体験は一部可能だが、EIP-8141はそれをプロトコル標準の取引タイプに載せる点で異なる。ウォレットの初回利用やオンチェーンゲーム、決済アプリでは、少額のETHを事前に用意する手間を減らせる。
ヘゴタのメタ提案であるEIP-8081は、EIP-8141を「採用予定」の一覧に掲載している。この段階は、仕様と実装が一定の成熟度に達し、予期せぬ問題がなければ本会議で審議・採決に進める状態を指す。メインネットですでに有効になったわけではなく、仕様変更や段階の見直しは残る。
イーサリアム財団のプロトコル部門は2026年9月7日の評価で、EIP-8141をヘゴタの実行レイヤー側の主要項目に含めた。同じ整理では、EIP-8250とEIP-8272との組み合わせも想定されている。EIP-8141は、ネイティブなアカウント抽象化、柔軟な署名、鍵ローテーション、複数操作の一括処理、将来の耐量子署名への移行経路にも関わる提案となる。
ヘゴタは2027年を目標にしている。EIP-8081の有効化欄では、セポリア、フーディ、メインネットのエポックとタイムスタンプが空欄のままとなっている。今後はクライアント実装、開発ネット、テストネット検証を経て、メインネット投入時期が詰められる。

