米証券取引委員会(SEC)は2026年9月1日、登録トランスファーエージェント(発行会社の株主名簿や証券移転を扱う登録機関)に関する規則・様式の改正案を示し、電子記録やブロックチェーン上の所有者記録、無券面証券(紙の証券を発行しない有価証券)を米証券市場の実務ルールに取り込む方針を打ち出した。株式やトークン化証券の発行・移転を支える事務処理が対象で、暗号資産取引そのものに新制度を設ける案ではなく、有価証券の記録と受け渡しを支える制度更新となる。

トランスファーエージェントは、証券の所有者記録の維持、発行、消却、移転、配当などを処理し、全米の清算・決済システムに組み込まれている。現行規則は1970年代末から1980年代初頭に初期規則が導入されて以降、実質的な全面見直しを経ていない。電子的な記録管理や通信、発行会社・投資家・市場仲介者向けサービスが広がるなか、規則と市場実務のずれが今回の改正理由となった。
提案には、登録・年次報告に使うフォームTA-1とフォームTA-2の改正、定義や記録保持規則の更新、処理期限に関わるターンアラウンド要件、リスク管理、休眠株主対応、コンプライアンス、制限レジェンド(譲渡制限などを示す表示)に関する新規則が含まれる。一部の既存規則は廃止され、登録トランスファーエージェントの現在の業務に合わせた規則も加わる。
ポール・アトキンスSEC委員長は、今回の提案について、証券募集や株式移転に関わる電子通信とブロックチェーン技術の利用を含め、トランスファーエージェントの現在の処理と業務を反映するため、規則を簡素化し改めるものと説明した。取引市場局のジェイミー・セルウェイ局長は、技術と競争環境の変化を受け、古い規則を見直す必要があるとの考えを述べた。
SEC内では、トークン化証券を前提にした記録管理の議論も具体化している。ヘスター・ピアース委員は、紙の証券が少なくなり、多くの株式がトークン化される将来を市場参加者が見据えているとして、株式の保有と移転の実態に規則を合わせる必要性に触れた。オンチェーン取引が広がった場合にトランスファーエージェントの役割が増えるのか減るのか、ウォレットアドレスなどの識別子を規則上どう扱うのかもコメント対象になる。
この規則案は最終採択ではなく、今後のパブリックコメントとSECの委員会決定を経て内容が固まる。意見募集期間は、官報掲載日から60日間となる。
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